騎士(姫)の嘆き ページ11
私は騎士だ
皇帝を守る騎士だ
余計な感情は要らない
皇帝からの愛も必要ない
ただただ欲するは
我が忠誠心に足る器
それだけだ
それさえあれば
私がその器を満たす
この研ぎ澄まされた力に耐えうる器
それが野坂悠馬
その男だった
彼の覚悟が弱くなる前に
彼の愛が深くなる前に
彼の逃げ道が消える前に
私が守らなくては
彼の綺麗で純粋な心を
私が護らなくては
彼の強く堅い意志を
その為に私は
自分のーーを犠牲にしよう
ーーさえなければ私は
彼の騎士でいられる
やっと見つけた
私の主
主なしの騎士などいないだろう？
だから私は
この想いに蓋をしよう
この汚れた感情に
女であるが故に出来てしまった感情に
私は心の奥底に深海に
沈めよう
もう二度と浮上しないように
私は彼の騎士なのだ
騎士である事でしか
彼の傍にいられないんだ
どうか
願わくば
誰よりも優しく
誰よりも尊い
あの少年が
幸せでありますよう
私は
騎士は
祈る(闘う)事しか出来ない
嗚呼、胸が痛い
呼吸が苦しい
全身が重い
耳鳴りがする
脳に警報が鳴る
早く捨てろ
それは要らない
私を弱くするーーは要らない
早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く
棄ててしまえ
怖い
一人は怖い
独りは辛い
ひとりはくるしい
騎士は王子と結ばれない
騎士は王と結ばれない
騎士は皇帝と結ばれない
騎士の孤独は一生癒えない
なら
騎士の孤独を分かる人は要るのかしら？
私は沈む
深い深い水の中
私は歩く
白い白い空間を
私は座る
何もない空虚な部屋に
騎士は常に孤独だ
誰かの為に
誰かの為だけに存在する騎士
私はその在り方に憧れた
あとがき
ヒロインのダークな部分
両親が自分のせいで死んだという事に対して
その重みに耐えきるには騎士になるしかなかった
孤独でいるしかなかった
タツヤの件は
一時しのぎみたいな物
本当にヒロインを救う事は出来なかった
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作者名：おこめ | 作成日時：2018年11月1日 17時
