第拾の怪異 七番との邂逅 ページ12
『…、思わず来てしまいました。』
私は目の前に建つ古い建物
所謂旧校舎を見上げる
独りになりたいときによく来ていた
思えば勿怪達と初めて会ったのも此処だった
私は扉に手をかけて、ふと気づく
『……、この気配…。』
つかさと同じ気配を感じた
『また何か企んでるのかな。』
つかさが小さい怪異をいたぶって楽しんでる未来を容易く想像出来た
私は小さく溜め息をつきながら旧校舎に入った
長い渡り廊下を歩いている最中
ボンッ！！
数メートル先で白い光が暴発したように見えた
私は少し速めに歩を進めた
その時、聞き覚えのある声が聞こえた
「ヒトなんてカンタンに死んじゃうんだからさ。」
あぁ、なんで忘れていたんだろう
その簡単な事実に
私は自分の手を見る
一般的に見てもごく普通の女子の手
でも、実際は
やっぱり、駄目だ
カンタンに死ねない私はヒトじゃない
「それで、君は何処の誰かな？」
『……。』
「え、えー！？大江先輩！？なんで此処に！？って普通の人に花子くんは見えないんだっけ…。」
違う
彼はつかさじゃない
服装と話し方で直ぐに合点がいった
つかさとは似て非なるモノ
対の存在なのかもしれない
「ッ！待ってヤシロ！」
「な、何？」
花子くんと呼ばれた男子は女子生徒を背に庇った
『貴方は、八尋寧々さんでしょうか。』
「わ、私の事知ってるんですか！？」
『はい。園芸部の赤根さんとはよくお話しますので、その時によく貴方の話題に。』
「ぇえー！？葵、変な事話してないかなぁ…。」
「ねぇ、それよりさお姉さん。なんで見えない振りするの？俺が見えてるんだろ？」
「ちょっ、花子くん！何言ってんの！」
『…はい。見えています。』
「えっ！？」
「………。」
『ですが貴方を害する気などありません。…なのでどうか警戒を解いて下さい。』
『七番さん。』
「…ヤシロ、逃げて。彼女は危険過ぎる。」
「…え？」
『勘違いなさらないで。私は貴方と敵対するつもりはありません。』
「…それを信じろと？」
『私は勿怪を助けに来たのです。貴方と対立するためじゃない。』
第拾壱の怪異 普通の女の子になりたかった怪物→←第玖の怪異 深い後悔は消えぬ炎となり永遠に僕を苦しめる
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めだかの箱庭 - とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2020年5月26日 22時) (
レス) id: 22e06c1135 (このIDを非表示/違反報告)
おこめ(プロフ) - ルルさん» わあい！初コメだ！ありがとうございます！ (2020年3月19日 7時) (レス) id: 59f0fac7fa (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 面白いです！更新頑張ってください！！ (2020年3月18日 19時) (レス) id: 8704b5e388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おこめ | 作成日時：2020年3月17日 12時
