王と皇帝は相容れない筈だった (ページ5)

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名前のない感情ページ5

野坂はハッと我に返り
「…すみません。もう少し自主練を…。」
『許可しない。』
「しかし…！」
『そもそも部活動の時間は基本６時半まで。長くても７時までだ。遅い時間だと親御さんも心配するだろう。』
「寮なので問題ありません。」
『頑なだな。何が君を駆り立てる？君は自分の体力を見誤るほど愚かではないだろう？そのままだと体を壊すぞ。』
「…っ！貴方に何が…！…いえ、会長の言う通りです。少し熱くなり過ぎました。」
『いや、意外だったよ。君は理知的で合理主義者だと思っていたから。』

私はクスクス笑った

「会長も笑うんですね。」
『当たり前だろ人間なんだから。』
「そう、ですね。人間なら当たり前、なんですね。」
野坂は歯切れ悪く肯定した

『ああ。人間だから焦るし、反発し合う。…安心したよ。』
「え？」
『校内で見かける野坂はなんというか、八方美人というか。嫌な事を嫌だと言わないから。少し窮屈そうに見えた。』
「！僕を、よく見てるんですね。」
『勘違いするなよ？あくまで視界に入った時だけだ。そんな四六時中見てるわけではないぞ。』
「分かってますよ。」

『さて、着替えてきなさい。私が寮まで送る。』
「…会長、貴方は女性なんですから僕が会長を送ります。」
『む、野坂は変な奴だな。私のような大女を女性扱いとは。』
「？だって、会長は何処からどう見ても女性じゃないですか。」
『！、あ…、ふふ、』
「会長？」
『いや、何でもないよ。』

『じゃ、家まで頼むな野坂。』
「はい。」

野坂side

――――人間だから焦る、反発し合う

彼女の言葉は安心する
例えるなら
母親のような温かさ、なのだろうか

彼女の言葉は一種の中毒性がある
何故なら
彼女の周りにはいつも人がいる
僕のように彼女の言葉一つで安心する者達などが集まっているのだろう

彼女には不思議な魅力がある
老若男女問わず発揮されるそれは

恐らく

カリスマと呼ばれるものだ

僕は彼女の横顔を盗み見る

『ん？どうかした？』
「僕…、会長の事が知りたいです。」
『い、いきなりだな…。』

彼女の困った顔、笑った顔
それらを見ると胸の内が温かくなる

その名前のない感情は僕の焦りを和らげるのに十分すぎる程だった

あとがき
書き直します
とりあえず矛盾が消えるとこまで
書き直します

きっとイナオリの夢はフロイが出張る