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わな ページ42

夜の都市内は静まり返っている。その中を私とミカは二人で歩いて、ミカの家族が寝泊りする家に向かった。



「ちょっと、ここで待っていてください。みんなを起こしてくるので」




そう言ったミカを見送り、一人でぷらぷらと足を揺らす。腰に下げた剣の調子を確かめて、緊張感を高めておく。


しばらく待っていれば、ひそひそと大人数の喋る声がこちらに移動してきた。ミカを先頭に、同い年くらいの黒髪の少年と、その他大勢の小さな子供たち。




「紹介します!今回僕らをナビゲートしてくれる、Aさんでーす!ほらみんな、挨拶して」




ミカの言葉に、元気いっぱいの子供たちが小声で「よろしくお願いしまーす」と挨拶してきた。
子供に慣れていない私は、戸惑いながらも会釈を返す。




「おい、ミカ」



「心配しないで、優ちゃん。屋敷で僕と同じようにしていた人だよ。悪い人じゃない」




黒髪の少年がこちらを疑り深い目で見てくる。その警戒心は大事だ。大切にしてほしい。




「えっと、じゃあ行こうか。絶対に喋らず、私の言うことはよく聞くこと。吸血鬼は耳がいいからね」




そう言って、地図を片手に出口までの道を歩く。

子供たちは私の言うことをよく聞いて、誰も一言も喋らなかった。なんていい子たちだろう。皆、標準以上に頭がいい。



地図を見ながら吸血鬼の警備をかい潜っていけば、驚くほどあっさりと出口に着いてしまった。



…おかしいな、こんなに簡単にいくものなのかな。




仲良く話す子供たちを尻目に、周囲を警戒する。

このまま出られるのなら、それに越したことはないけれど…。




嫌な予感がする。その私の予想は当たって、出口のある門の向こうから靴跡が響いた。





「あはぁ〜、待ってたよ。あわれな仔羊くんたち」





そこにいたのは、とても見慣れた顔。

吸血鬼の貴族。第七位始祖、フェリド・バートリー。




「そうその顔。希望が突然消え去る時の人間の顔。だからこの遊び、やめられないんだよね〜」





呆然と立ち尽くすミカを見下ろして、フェリドが笑う。

はめられた。こいつはこういうやつだった。クローリーにした事と同じ事を、またやるつもりだ。




「みんな逃げっ」




振り返ってそう叫ぶ私の横を風の速さで通り過ぎ、フェリドはあっけなく一人の血を吸い切って殺してしまう。

私と違って、死んだら人は生き返らないのに。

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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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