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だるおも ページ33

目が覚めたのは、時計の針がそろそろ昼を過ぎる頃だった。


意識が戻ったといっても、体がだるくてとてもじゃないが起き上がれない。
どこか動く部分はないかと体をもぞもぞさせていると、左手になにかを握っている事に気がついた。



「あ、やっと起きた」



「へ、クローリー様?あー…そっか、昨日…」




声に驚いてそちらを見れば、私が寝ているベッドに腰かけているクローリーがいた。

昨晩の記憶が頭をよぎる。

どうやら昨日の夜、意識を失う前にクローリーのマントを掴んでから今まで、ずっと握りしめていたらしい。


なら体が重いのは血が足りないせいか。意識したら自分がとてもお腹が空いていることが分かる。肉が食べたい。あと鉄分。



苦労して体を起こす。左腕を見れば、昨日噛み切った傷に包帯が巻かれていた。首を触れば、そちらも手当てしてある。




「わ…あの、もしかしてクローリー様が手当てを?」



「うん。屋敷の吸血鬼に道具を持ってきてもらって。君がなかなか手を離してくれないからさ」



「あぅ…すいません。ありがとうございます」





無理やり剥がそうと思えば剥がせたはずなのに、そうはしなかったらしい。

恥ずかしさ半分嬉しさ半分で、お礼を言う。クローリーはそれに笑って、立ち上がった。




「食事をここに運んでもらおう。動くのは辛いだろ?」



「や、そんな。大丈夫です…ぅ」




慌ててベッドから降りようとして、少し体を動かした途端ふらふらと頭が布団の上に落ちてしまった。

すごくクラクラする。目眩がひどい。



その様子を見て苦笑してから、クローリーが部屋から出て行く。



一人になり静まりかえった部屋で、諦めてベッドに寝直す。横になっていれば少し楽だった。




そっと首の傷に手をやる。軽く押したら、少し痛い。



…どうしてクローリーは、私を殺さなかったのだろう。

殺してくれたら、それまでについた傷は全て治るし、血も元通りになるからこんな手間をかける必要もないのに。


いっそ今自分の喉を適当な刃物で突いたら、クローリーの手間を減らせるだろうか。




そう考えて見える範囲で部屋を見渡すが、残念ながら手頃な刃物は手の届く範囲に置いていなかった。


あとでクローリーが戻ってきたら聞いてみよう。

きょうき→←こういしょう



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リリア - 最高です!!!!! (2021年8月14日 12時) (レス) id: c153dc8275 (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - ベルモットさん» 色気…!!ありがとうございます!嬉しいです…! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ストリート展開や文章に色気があってリアリティーが感じられました。 (2020年3月28日 17時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
さとう(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!がんばります〜! (2020年2月19日 0時) (レス) id: 419fa80be8 (このIDを非表示/違反報告)
黒胡椒(プロフ) - 好きです!更新頑張ってください! (2020年2月18日 16時) (レス) id: e2f590a1cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとう | 作成日時:2020年2月9日 21時

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