吸血鬼になった彼との (ページ26)

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しさつページ26

「似合う似合う」という、フェリドからのおざなりな褒め言葉を受け取って、外に出る。

顔も体も隠れてしまうんだから、似合うもなにもないと思うけど。

「へえ、これが外か」

「感動する？」

「いや。暗いし、じめじめしてて環境としては最悪だなあって感想」

「散々言ってくれるね」

あははとフェリドが笑う。

他の人間は、こんなところで何年も生活するのか。子供ばかりだし、大変だろうな。

都市になにがあるかを私は知らないので、とりあえずフェリドについて行くことにした。

他の側近の吸血鬼たちはフェリドが同行を断ったため、今日は私と二人きりだ。

歩いていれば、背が低く、家畜の服を着た子供たちがその辺を駆けているのがそこかしこで見られる。

その子たちも、フェリドの姿を見れば慌てて逃げ出してしまうのだが。

「フェリド、嫌われてるんだね」

「悲しいよねぇ。僕、こーんなに気さくなのに」

「ここの子供たちは見る目があるんだね」

人間の子供からしたら、吸血鬼の貴族なんて恐怖の対象以外の何者でもないだろう。

特にフェリドは吸血鬼の中でも変わり者で、離れられるならその方がいい。

残念ながら私は、こいつから逃げられなかったから。

いや、自分から首を突っ込んだんだったか。その辺りはもう忘れてしまった。

「ん？…あはぁ」

ふと、フェリドがなにかを見つめて笑みをこぼした。

なにかあったのかとそちらを見てみれば、十歳くらいの男の子が二人、並んで歩いている。

一人は日本人らしい黒髪だが、もう一人は金髪。外国の子供だろうか？ハーフかもしれない。

「どうしたの？」

「いや、かわいい子だなあって」

「ああ、綺麗な顔はしてるね」

たしかに少年たちは二人ともかわいい顔をしている。

美少年が大好きなフェリドの目に留まるのも頷けた。

子供を見てにやにやするのは不審者感が強いが、私から見てもかわいい子たちだとは思う。

「もしかしてフェリド、いつも出かけてはこんな風にかわいい子を見てにやにやしてるの？」

「いやいや、今日はたまたまだよ～。いつもは真面目に家畜の管理をしてるから、安心してよ」

あんまり信用できないなあと思いながら、ふぅんと頷いておく。

とりあえず、彼のお眼鏡にかなってしまった子供はかわいそうだなと思った。