彼が吸血鬼になるまでの (ページ6)

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へんたいページ6

でも、楽観的にはならないよ。だって私はもう大人。

夢みたいな状況だけど、夢じゃない…はず。少なくとも五感はあるから、死ぬのは痛い。

選択肢を間違えたら、多分、簡単に殺されちゃう。慎重にいかなくては。

　
そんな事を思っても、フェリドに手を掴まれてる今できることなんて思いつかない。いつの間にか周りの景色に自然が多くなってきたし、そろそろ屋敷に着くんじゃないだろうか。

「はい、到着～。君、歩くの早いんだね」

あなたの歩幅が大きいから、それに必死について行っただけですけど！

なんだかんだ言ってフェリドの身長は一八〇センチ以上あるのだ。普通にでかい。ずっと見上げてると首を痛めそうだ。

「こっちこっち。早く来なよ」

日本では見る機会のない、ヨーロッパ風の屋敷に見とれていると、先に門をくぐったフェリドから声がかかった。

…正直、自分から食べられに行くみたいで行きたくないな～なんて…。

でもここまで来て逃げるなんて選択肢はないだろう。観念して、屋敷に入る。

「はい、じゃあ、そこで脱いで」

はい？

屋敷の内装をじっくり見る間も無く、いきなりそう言われて驚きで声が出なかった。

「…え、なんで…。恥ずかしいので、嫌です…」

「大丈夫大丈夫、着替えは用意してあるから」

そう言ってぴらっと見せられたのは、およそ服とは言えない、すけすけの布…

これ、あれだ！フェリドの屋敷で美少女と美少年が着せられてたあれだ！変態の所業だ！

「なおさら嫌です！恥ずかしいので！」

「絶対似合うから心配しなくてもいいって！ほらほら」

ずんずん迫ってくる。だめだ。どんなに美形でも変態は変態だった。

でも、あんな服着るくらいならそれこそ死んだ方がましだ。逃げようか、よし、逃げよう。

「抵抗するなら、無理やり脱がせちゃおうか？」

お断りします！

まだフェリドとの距離が開いてるうちに、私はだっしゅで玄関に向かって駆け出した。