彼が吸血鬼になるまでの (ページ48)

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しんきょページ48

それからは、引っ越しやらなんやらでてんやわんやだった。

家に帰ってきたクローリーは、まず使用人たち一人一人に労いの言葉をかけて実家に戻した。

使用人全員から「くれぐれもクローリー様に迷惑をかけないように」と釘を刺されたが、ごめんなさい。すでにワガママで困らせた後です。

そして新しい家だが、これは私が家の中の物を整理しているうちにクローリーが見つけてきた。

中心部に近いこことは違い、町外れの大きな庭のついた家だった。
家の中は広くて、二人で住んでも充分な余裕があった。

家具などもクローリーがすべて用意してくれて、私はそれをいい感じにレイアウトしていく。

大きな棚やベッドなんかも、今の私なら一人で運べる。その様子を見たクローリーは、「非力だと思ってたけど、案外力持ちなんだね」と驚いていた。

なんだかこうして二人で作業していると、まるで新婚のようだななんて考えて一人でニヤついているところをクローリーに見られ、不気味なものを見るような顔をされたりもした。結構傷ついた。

そうして数日をかけて、引っ越し作業は完了した。

明日からは新生活が始まる。

それにワクワクと胸躍らせながら、私はクローリーと笑い合った。

　

…けれど。

以前は毎日のように神に祈りを捧げていたクローリーは、この数日間の間、一度も教会には近づこうとしなかった。