彼が吸血鬼になるまでの (ページ40)

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よるページ40

頭がふわふわとして、現実に理解が追いつかない。

私、今もしかして、クローリーとキスした？

顔に熱が溜まって、爆発しそうだ。
クローリーの顔を見れば、慣れた様子で、恥ずかしがってるのは私だけだと気付いて自分がとても子供っぽく感じた。

でも、でも、なんでこんな展開に…？

ヴィクターと色々やらかしたところを見られたと知った時には、それはもう絶望したものだが、そこからどんな話の展開でこんなことになったのだろう。

ずっと緊張しっぱなしで、ほとんど会話を覚えていない。

いきなりのキスにびっくりしてしまって足に力が入らず、クローリーの腕を支えにしていないとまともに立つこともできない。

情けないし、恥ずかしいし、なんなんだこれは。

「A」

「ひゃっ」

すぐ上からクローリーの声が降ってくる。
近い近い！

「僕はまだここで飲むけど、君はどうする？」

えっと…。
帰るにしても、ちゃんと歩けるか自信がない。
それに、明日からはしばらくクローリーに会えないのだ。今のうちにできるだけ側にいたいと思う。

「私もここにいていいんでしょうか？」

「ほんとはダメだけど、バレないと思うよ。みんな酔ってるし」

「なら、私もぎりぎりまでここにいます」

私がそう言うと、クローリーは頷いた。

あ、でも、私にばかり構うんじゃなくて、仲間同士で話すこともあるだろうし邪魔にならないようにしたいな。

その事を伝えれば、クローリーもそのつもりだったのか、軽く頷いてから私が冷えないように上着をかけて、近くのベンチに座らせてくれた。

クローリーの温もりがまだ残ってる上着をきゅっと引き寄せながら、少し離れたところで会話を始めたクローリーとヴィクターを見る。

時折こちらに視線を向けてくる様子から、私の話もしているのかもしれない。先ほどの出来事を思い出して、また恥ずかしくなってきた。

楽しそうに話すクローリーたちの元に、おそらく隊長だろう威厳のある男性が発破をかけにきて、クローリーの騎士としての姿を見ることもできた。

気の置ける仲間と話すクローリーは本当に楽しそうで、よく笑っていて、その姿をかわいいなと思いながら、私はもう見られないその光景をしっかりと胸に焼き付けた。