彼が吸血鬼になるまでの (ページ33)

今日:32 hit、昨日:15 hit、合計:91,839 hit

たのしいひページ33

「ふうん、じゃあ、今日別の女の子と寝るってなっても文句はないわけだ。おいみんなー、クローリーがくるぞー！」

ヴィクターがそう言うと、女の子たちがきゃあきゃあとうるさく騒ぐ。

「相変わらずモテやがんな」とヴィクターにからかわれるが、ヴィクターだって充分モテているはずだ。

この中の何人と寝ているかというヴィクターの質問を適当に流すと、悪ノリしたヴィクターが、「クローリーの初めてを奪う女は誰だ」なんて銘打って、女の子たちを盛り上がらせてしまった。

その中で、一度だけ寝た覚えのある女の子が名乗り出てしまって、ヴィクターに真面目ぶっていた事がバレてしまった。からかうような視線を適当に流す。

先ほど会話に出していたからか、Aの顔が浮かんでしまって、あの子にはバレないようにしないとなあと思う。
僕が他の女の子と遊んでいたと知ったら、悲しむだろう。それは避けたい。

そうしてまたどんちゃん騒ぎが始まり、ヴィクターもその騒ぎの中心へと戻っていった。

◆

それから一人で酒を飲んでいると、グスタボ先輩やアルフレッド隊長が話しかけにきて、楽しい話もしたし、明日への士気も高まった。

隊長の次には、後輩騎士のジルベールが来た。

こんな場でも相変わらず堅い態度で話すジルベールと、女の子のスカートの中に頭を突っ込むグスタボの姿を見て笑い合う。

本当に、今日は楽しい日だ。

会場の熱気に当てられて、一度外に出たくなった。ジルベールを置いて、一人で風に当たりに行く。

会場を出る前に、ちらりとヴィクターが視界に入った。どこの店からきたのか、布を頭から被っている女の子に絡んでいるところだった。

顔は見えなかったが、体つきを見る限りあの子も相当な美人だろう。真っ赤な顔で嬉しそうに笑うヴィクターに、楽しそうでなによりだと思いながらその場を後にした。