彼が吸血鬼になるまでの (ページ4)

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ふぇりどページ4

座り込んでいてもなんにもならないと、とりあえず立ち上がってみたけれど、右も左も分からない、なぜか人通りも全くない道のど真ん中で、一体私はどうすればいいのか。

「うう、誰か、誰でもいいから助けて～！」

「なになに、君、助けてほしいの？じゃあ、親切な僕が助けてあげよう」

誰もいないのをいい事に、腕をぶんぶん振り回して天に助けを求めた私は、突然の背後からの声に固まった。

「あ、驚かせちゃった？ごめんごめん。…で、なにかお困りかな～？お嬢さん？」

「あ、えと、なにに困ってるかと言われると答えにくい…っ！？」

どこかで聞いた覚えのある男性の声に、恥ずかしいところを見られてしまった羞恥とともに振り返れば、そこにいたのは紙の上に描かれていた姿を何度も見た、銀髪の、

「ふぇ、ふぇ…！？」

「え、なになに、くしゃみ？いいよ～思いっきりやっちゃって。あ、でも、こっちにはかけないでね」

先に続く言葉が出るより先に、相手がそんな事を言ったので、お言葉に甘えてくしゅんっと小さくくしゃみをするふりをした。

…フェリド・バートリーだ！！

まだ鼻がむずむずしてるんですというふりをしながら、私の頭は大パニックだ。

どうしよう、本物！？とりあえず声は櫻井さん！アニメと同じ！！まさか、でも、そんな！

もうじき大学生になるはずだった私の頭はかちこちに固まってしまっていて、漫画のキャラが現実にいるという事実を受け止める事ができない。

しかし。

…夢小説で、こんな展開見たことある！！！

受験期にめでたくオタクになっていた私の脳は、ありがたいことに幼少期の柔軟性を取り戻していた。

「…ふう」

「あ、落ち着いた？風邪でも引いてるの？」

「いや、ちょっと埃が鼻に入って」

自然を装おうと、しっかり相手の顔を見返す。

なんだこの美しい顔は。顔を見ただけで惚れちゃいそうだ。

三次元の男性ばかりを見てきた目では、透き通るような白い肌、きらめく銀髪、妖しい赤目に簡単に魅せられそうになってしまうが、漫画を読み込んだ私は知っている。

この男が、とんでもない危険人物だということを。

…私、もしかしなくても大ピンチでは？