彼が吸血鬼になるまでの (ページ27)

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ぴんちページ27

「ちょっと、そこのお嬢さん」

もしかして、私のことかな。

ちらりと周りを見回しても、目立つ人通りのないこの場所では、お嬢さんと呼べるのは私くらいのものだ。
ゆっくりと振り返る。

「申し訳ないんだが、探し物を手伝ってくれないか？そこの路地の中に落としてしまったんだがね、暗くて見えにくいんだ」

そこにいたのは、三人の男たちだ。
どれもがっしりとした体つきをしていて、話しかけてくる男以外は後ろでひそひそとこちらを見てなにか話している。

…怪しい。

「三人もいるんだから、私が手伝わなくてもすぐに見つかりますよ」

「いやそれが、俺たち全員目が良くなくて。すっかり困ってしまってるんだ」

いやいや参ったと、男たちが揃って肩を竦める。

えー、これ、どうすればいいんだろう。
今までこんな風に声をかけられた経験なんてないから、どう断ればいいのか分からない。

「それは…困りますけど、でも…」

「人助けだと思って、さあさあ」

「頼むなら、男の人にお願いします。あの、ちょっと」

ぐいっと腕を乱暴に引っ張られる。
痛みに顔をしかめているうちに、ロクな抵抗もできずに路地の中に引き摺り込まれてしまった。

「そんなに乱暴にするなら、人を呼びますよ」

「誰が来るんだ」

「テンプル騎士の方が、まだこの辺りにいるはず…っぅ！？」

クローリーがまだ近くにいるうちに大声を出してやろうと息を吸ったところで、男たちはこちらをバカにしたように笑いながら、思いきりお腹を殴ってきた。

は、吐く！

「げほっ、ぅ…」

「人を呼べるんなら、呼んでもいいんだがなあ」

ははは、と、堪らずしゃがみこんだ私を見下ろして男たちが笑う。

こんな、いきなり暴力を振るってくるの！？こんなところでも文化の違いが！

ズキズキと痛むお腹を押さえて痛みを和らげようとしていると、前屈みに座り込む私の肩を乱暴に蹴られて、仰向けに転がされてしまった。

「きゃうっ」

お腹も痛いし、今ので肩も痛いし打った背中も痛い！

体のそこかしこに痛みがあって、抵抗どころかまともに動くことさえできない。

ううう、と唸っていると、三人の中でも特に屈強な体つきをした男が馬乗りになってきた。

嘘、やだやだ、助けてクローリー！