彼が吸血鬼になるまでの (ページ25)

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しゅうちページ25

朝だ。

目を覚まして、窓から日の光が差し込んでいるのを確認して、外を飛ぶ鳥たちに微笑みを返してから、私は思いっきり布団に顔を埋めた。

ああああああああああああああ！！！！！！

穴が！あったら！入りたい！！！

昨日の夜のことは鮮明に覚えている。クローリーに抱きしめられていた時の感触を思い出して、たまらずベッドの上でバタ足をした。

違うんです、昨日は、心が弱ってたんです。今の私は容姿に少々自信があったので、ちょっと調子に乗っちゃったんです。あああ記憶を消したい！

恥ずかしすぎて顔を布団から上げられない。駄目だ、湯気が出そう。

フェリドからの仕打ちとか、自分の体の事とか、今ばかりはどうでもいい。

ただただ、クローリーに合わせる顔がない。

「や、おはよう」

「わああああ！？」

ノックとともにクローリーが部屋に入ってきた。
待って、心の準備が！

「あの、あの、昨夜はご迷惑をおかけしまして」

「うん、元気そうで良かった」

ベッドの上で正座をして、昨晩の事を詫びる。羞恥で既に半泣きだ。

そんな私の様子を見て、クローリーは満足そうに笑う。優しい、好き。

「あ、クローリー様。お洋服は大丈夫でしたか？一応、昨日涙とか鼻水がつかないように気をつけてたんですけど…」

「あー…通りで」

「全く」と肩を竦めながら、服はほとんど汚れていないよと教えてくれた。
良かった、クローリーに汚いなんて思われたくないもん。

「で、A。なにがあったのかはやっぱり教えられない？」

「あ…はい、私からはなにも言えません」

「ごめんなさい…」と謝れば、クローリーは軽くため息を吐いてそれを許してくれた。

昨日の醜態で、私に隠し事があるのは分かったけれど、それがクローリーの不利益になるものではないと判断されたらしい。良かったのか悪かったのか。

私が悶々としていると、こちらをじっと見てなにかを考えていた様子のクローリーがふいに口を開いた。

「A、今日は一緒に出かけようか」

「えっ、クローリー様と！？わあ、嬉しいです！どこに行くんですか？」

「教会だよ。神に祈りを捧げに行こう」

「へ」

神様？

ああ、そういえば、この時代のヨーロッパは神と信仰の時代だ。

…形だけでも、信仰しておいた方がいいよなあ。