彼が吸血鬼になるまでの (ページ19)

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これからページ19

「どこから話したものか」と一瞬悩んだ顔になったクローリーが、意を決したように話しだした。

それによれば、私は夕食を食べ終わったその瞬間、椅子から転げ落ちて眠ってしまったらしい。

微妙な顔で「おそらく疲れが溜まっていたんだろう」と言葉を付け足すクローリー。
羞恥で顔から火が出そうだ。たまらず両手で顔を覆う。

「あう、も、申し訳ないです…」

どこから謝罪を言ってお礼を言えばいいのか分からない。ダメダメすぎるだろう、私。

たしかに思い返せば、昨日はいきなりこの世界に放り込まれて、すぐにフェリドという名の変態と接触、血を吸われて土に埋められていたのだ。

体はともかく、精神の方はいきなり意識を失うほど疲弊していてもおかしくない。それでも、それでもだ。

クローリーには情けないところを見られたくなかった…！

ずーんと気落ちしている私に、クローリーが言葉を重ねる。

「君のこれからについてなんだけど、迷惑じゃなければ、僕が面倒を見ようと思っている」

「えっ」

がばっと顔を上げる。あっ、顔がかっこいい。眩しい。

「昨日から君を見ていて、このまま一人で外に放り出すのは不安すぎる。家の手伝いをして、住むところが決まるまでという条件つきではあるけど、どうかな」

「そんな、願ってもないです。でも、本当にいいんですか？迷惑じゃありませんか？」

私の言葉に、クローリーは何も言わずに微笑んでみせた。
ああ、これ、迷惑だけど放っておくのも寝覚めが悪いから仕方ないだろって笑みじゃない？ダメダメでごめんなさい。

けれど今はそんな自分のダメダメさに感謝しよう。クローリーの身の回りのお世話ができるだなんて、なんてご褒美ですか！

「それでは、お言葉に甘えます。よろしくお願いします！」

「うん、僕の家で暮らすことになるけど、ちゃんと生きるように」

ああ、昨夜「クローリー様のお家でなければ生きていける」みたいな事を口走ったような。
もしかして根に持ってました？