T ページ7
幼いころから、言われ続けてきた。
「いいかい、智洋。外は危ないところだ。だから決して外に出てはいけないよ。
もしなにかに追われて外に出るようなことがあるならフードを深く被りなさい。
絶対に誰にも見られてはいけないよ。」
幼かった俺はそのいいつけを忠実に守った。
本に出てきた空はどこまでも続くだだっ広いものなのに、俺の見る空はいつも決まって窓枠のうちに収まっていた。
独特な香りを放つ草木も、春の訪れを知らせる色とりどりの花たちも、俺にとっては絵本の中だけの存在だった。
俺の見る世界はいつだって頑丈な煉瓦造りの小さな正方形。
季節が移ろうと、変わらない景色とともに年を重ねた。
でも何も疑わなかった。
だって、父様の言いつけが間違ってるはずがなかったから。
俺は、危ない外に出ないで生きていけるなんて幸せだと、信じて疑わなかった。
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作者名:茶豆 | 作者ホームページ:http://kageroupurozixekuto
作成日時:2021年3月18日 23時