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「ちょっと酔っちゃったなー
散歩でもしよかなー」
私、今とても酷い顔をしているであろう。分かっていながらも優しい声のする方へ顔をあげれば、微笑んだ彼と目が合う。
「行く人」
『いく』
苦しい喉から何とか声を捻り出すと、満足そうに彼は笑った。
財布から札を出そうとすると、いいから、と彼は私が財布の中に手を伸ばすのを、何としてでも私の行動を制した。
私は仕方無く彼の後をついて店を出る。夜風が涼しくて気持ちがいい。そんな夜道を彼の隣で歩く。
私にアルコールの香りが纏わりついているのがわかる。
『彼氏じゃないよ』
「うん」
『浦井さんが好き』
「うん」
自分の足元を見ながら、ぽつりぽつりと話す。
もうこうなったら全て言ってしまえばいい、とだんだんと酔いも冷めてきたというのに急に話し始めてしまった。
「ありがとう。」
『ううん。突然、ごめんなさい。』
一方的に私の気持ちを吐露したとて、答えはわかっていた。
こんな女、誰が好きになるというのか。
多分、彼は全部解っているのであろう。
「俺も好き」
胸の鼓動が一瞬止まって、同時に無意識に足がピタリと止まった。
彼がそれに気づいて、一、二歩先で立ち止まって振り返る。
「Aの事、好きよ。」
私はただ黙って彼の言葉を飲み込もうとしていた。
然し、好意もない男に抱かれていた自分を汚く思い酷く嫌っていたし、好かれるわけが無いことを理解していた為、上手く飲み込めない。
「寂しい思いさせて、ごめん」
『え、え…？なんであやまるの…』
「でももうそんな思いさせへんようにするから」
泣くべきでないとわかっていながらも、ポロポロと涙が溢れてしまう。
罪悪感を感じつつも、嬉しいという感情も確かに抱いており、私は涙を流すしか出来ずにいた。
『ごめんなさい』
泣きながら謝ると、彼の親指が私の頬につたう涙を拭う。
「明日は休み？」
丁度明日は何も無い。私は鼻をすすりながら頷いた。
彼はじっと私を見つめる。なに？とか、ん？とか声を出そうかと悩んでいると、彼が先に口を開いた。
「俺の家に、泊まって行って欲しい、です」
ちゃんと、その意味はわかっているつもり。
『うん、うん。泊まる。何時でも行くよ。』
彼は、いつでも？と笑う。
彼を愛すことが、彼の迷惑にならない事が嬉しかった。私の指に彼が指を絡めて、どちらからともなく歩き出す。
誰もいない夜道を二人で歩く。世界で二人きりみたい、とか思ってみたりなんかしちゃって。
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終わり
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林檎果汁(プロフ) - そらばうぉ＠（大体）同い年卍同盟さん» 夜分遅くにお返事失礼致します。実は、勢いで書きすぎてキャラ崩壊しているな、と反省しておりましたので、そんなこと言っていただいて嬉しい限りです。本当に有難う御座います。これからもよろしくお願いします。 (6月22日 2時) (
レス) id: 21f83d1d44 (このIDを非表示/違反報告)
そらばうぉ＠（大体）同い年卍同盟(プロフ) - 初めてのコメント失礼します…！最新話読ませていただいたんですけど、さすがに世界観大好き過ぎてコメントさせてください…甘い感じもありつつ、少しブルーな雰囲気もあって、ふんわりとした世界観がめっちゃくちゃ刺さりました… (6月22日 1時) (レス) @page16 id: df0b4c1e3d (このIDを非表示/違反報告)
林檎果汁(プロフ) - みこさん» 夜分遅くにお返事失礼致します。本当に有難う御座います！久しぶりの更新がパッとせず申し訳ありません…。これからもよろしくお願いします。 (6月20日 1時) (レス) id: 21f83d1d44 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - 初めまして。お話の雰囲気がとても素敵で大好きです。何度も繰り返し読んでいます。林檎果汁さまのペースで、また更新していただけたら嬉しいです。応援しています！ (6月5日 0時) (レス) id: b749058d6c (このIDを非表示/違反報告)
林檎果汁(プロフ) - ●さん» コメント有難うございます。ごめんなさい。SNSアカウントは開設していないんです。もし機会があれば是非お知らせしますね！ (2023年4月1日 19時) (レス) id: 21f83d1d44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：林檎果汁 | 作成日時：2023年2月25日 15時
