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『…ん?』



目が覚めると見知らぬ場所にいた。


あたりは一面草原で、人も見当たらない。





(…どこだここ?昨日は確か…疲労困憊で帰ってきてそのままソファで寝たんだっけ…。



家には帰ってるはずだけど…。)





(…もしかして、拉致られたとか?



いやでもそうだとしたら、なんでこんな草原におきっぱにするんだよ…



え、放置プレイ??新たなそういう感じの誘拐??)





『…スマホも財布もないし。…てか、なんだこの服。』



チャンパオと呼ばれるいわゆる男性用のチャイナ服のようなものをきている。




(誘拐に加えて、コスプレまでさせられてんの!?



絶対変態だろ!!…とにかく逃げるか。)




変態が帰ってくる前に一刻もはやく、ここから動かなければ。



そう思い、立ち上がったとき、後ろの茂みががさがさと音をたてた。




(変態!?)




ばっと振り向くと、そこにいたのは水色のスライムだった。




(なんだ、スライムか…。)




『…は!?スライム!!?!?』





もう一度みても丸くて半透明でぷにぷにしているソレはどっからどう見てもスライムだった。




(しかも、このスライム画風からして最近めっちゃはまってる原神の!!)




『なんだ、夢か…。妙にリアルだな。』




目の前で起きていることが夢だと分かり、少し安堵する。


こんな機会ないだろうから、目の前のスライムをまじまじと観察する。




(コイツは水属性のスライムか…やっぱぷにぷにしてんのかな。)



そーっと近づいて、指で触れてみる。



ぽよんとした弾力で、少し硬いゼリーのような触り心地だ。




(この顔がかわいいんだよね〜。)




その瞬間、スライムがぽよんと跳ねて少し私と距離をとり、思い切り体当たりをしてきた。




『ぐっは!!いったいな!何すんだよ!』




(…ん?痛い?)




試しに頬をつねってみるが普通に痛い。



(え、これ夢じゃなくね?)



信じがたい状況に固まっていると、




視界の端にもう一度とびかかろうとしているスライムが写った。




(あ、やば…。)





ぎゅっと目をつぶって衝撃にたえようと身構えた。




が、いつまでたっても、予想していた衝撃が来ることはなかった。

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作者名:shu | 作成日時:2022年7月21日 1時

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