まだ 爆豪side ページ46
なぜだろう。どこか、「死なないんじゃないか」「当たり前のようにずっといるんじゃないか」と思い込んでいた。
あの話を信じていないわけじゃない。
信じてるからこそ、俺はここにいる。
でも毎日を過ごして、一緒に朝起きて、飯を食って、学校に行って、帰ったら他愛のない話をする。
そんな日が当たり前に続くのだと無意識に思っていた。
「私ね、夢が…あってね。ヒーローになる事とか、みんながヒーローって活躍してるところを見届けたいとか、」
だからこそ、今突きつけられる現実が
か細くて泣き出しそうなその声が、
無理やり口角を上げるような引きつった笑顔が。
痛いほど
「でも本当はね」
息苦しくて喉元が詰まった感覚がする。
そこから苦しさはじわりじわりと広がり、その先の言葉を聞きたくなくなる。
その言葉を言ったらこいつが壊れてしまう気がした。泣きだすんじゃないかと思った。
「…爆豪くんとね、一緒に歩いて、同じ空の下でね、お話しするの。それでいいの」
Aの笑顔が壊れる。
俯いて、肩が小刻みに震えている。
掛ける言葉が見つからない。いざとなると俺の口はなんの役にも立たないらしい。
そんな自分に腹が立って、何か言おうと口を開くが、それでも言葉が出てこない。
何を言っても、泣かせてしまう気がした。
「…でもね、それすらできなくなるの、嫌だ
それでも、私今ね、世界で一番幸せなの
だからいいや。幸せだったからいいやって思いたい…のに、なのに」
ぽたぽたと、膝の上で固く握り締めてるAの手の甲に涙がこぼれ落ちている。
Aが涙をいっぱいに溜めた瞳で勢いよく顔を上げて俺を見る。苦しそうに顔を歪めて、ぽろぽろと涙を零しながら。
「私まだ死にたくないの！」
その一言が深く刺さる。
当たり前の事なのに、その言葉はどこまでも俺の深いところに入り込み強く抉る。
テレビの音なんてもう聞こえなくて、Aの耳を劈くような叫び声がひたすら響いた。
息苦しくて、喉元に何か詰まったようだ。
「だってせっかく…！せっかく会えたのに！せっかく『楽しい』って、『生きたい』って思ったのに！
私もう、来月死んじゃうんだよ……？」
そいつの涙が、俺の手のひらに零れ落ちる。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
