side雄英 ページ5
会議室にて。
『ヒーロー殺し』や『体育祭』の件についての話し合いは既に終わってる。
ほとんどの教師が帰って行く中、残ったのはオールマイト、イレイザーヘッド、ミッドナイト、そしてリカバリーガールである。
「彼女の様子はどうですか」
「まずまずってとこだね。あの調子じゃ、7月の末までは持たないかもねえ」
会議が終わってるにも関わらず、会議室はシンと静まり返り、あまり空気がいいとは言えなかった。
暗い顔をしていた先生たちに、イレイザーヘッドが声をあげる。
「私達には敵から守る事くらいしかできないわね」
「心配しなくても、彼女には爆豪少年が付いている。心の面は彼がなんとかしてくれるだろう」
オールマイトの言葉に頷いた。
皆の顔はまだ暗い。
15の少女が死に直面している。それも理不尽な個性によって。その残酷さは、本人の心だけでなく、周りの人間の心まで痛めたのだ。
そして大人がどれだけ手を伸ばそうと、彼女の命を救う事はできない。
「例の件の進展は」
「ないです。そもそもアレは16歳を迎えて初めて解けるものであって、我々にはなにも…」
「そんなのあんまりだわ
何か他に方法があるかもしれないじゃない」
大人達の声がだんだんと怒りを含むものに変わっていく。無理もない。1人の生徒が、光に手を伸ばす生徒が、もう命を散らそうとしている。
食い止める方法は１つだけ。それは他者がどうにかできるものではない。
そのもどかしさが、教師達の心を焼くのだ。
「…方法はこれからも探します。ですが見つかる見込みはありません。その時は…」
会議室が静まり返った。
見つからなければ、その時は”死”だ。
ヒーローは”善”であり”正義”である。
それでも、ヒーローが手を差し伸べるその全ての人間が助かるとは限らない。
救えないものもこの世にはあるのだ。
その命は、伸ばした手からするすると溢れ落ち、2度とこの手には戻らない。
けれど、幸せの形は人それぞれだ。
おそらく、「救えるかどうか」は関係ない。
ただこれだけの人間が彼女の事を思っていると言う事が知れるだけで、彼女は幸せなのかもしれない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 595人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
