醜い私に醜い傷 ページ14
朝目が覚めると、汗が乾いた後のような寒気が背筋をなぞった。
ぶるりと体を震わせて、起き上がった。
体がだるくて、微熱があることを自覚する。
昨夜のことはうっすらとしか覚えていない。
ーーーただ、
『………A、』
あの声だけ、なぜが耳にこびりついて消えない。
その先に何かを言われた気がするけれど、なぜだかそれは思い出せない。
あれは現実だったのだろうか。
そうだ、あの後に言われた言葉はなんだったろう。
それはもうぼんやりとして思い出せなくて、後悔と残念な気持ちが浮かび上がる。
隣にお茶子ちゃんはいなかったけれど、私のベッドとお茶子ちゃんのベッドの間の棚に紙が置いてあった。そこには可愛い字で、
『おはよう。体調は大丈夫？今朝おでこに触ったら微熱そうだったので、ガンヘッドさんから欠席の許可をもらっておきました。
フルーツと軽い朝食がテーブルに置いてあるよ。体調が悪くて1人が辛かったら、私か爆豪くんに電話してね。
お茶子』
と、書いてあった。
身体はだるいけれど、起き上がれないほどではない。
私はその少し重い身体を起こして、全長1メートルほどの小さな冷蔵庫からフルーツを取り出した。
食べやすく一口大にカットされていて、冷えたそのフルーツをみるとなかったはずの食欲が少しわいてくる。
職場体験で風邪を引いて、面倒まで見てもらうなんて迷惑極まりない。あとでお礼をしないと。
なんて思っていると、汗が冷えたからか少し寒気がして個室のお風呂に入る事にした。
食べかけのフルーツが入ったお皿はミニサイズの冷蔵庫にしまっておく。
脱衣所に入って服を脱ぐと、洗面台の鏡に自分の顔が映った。
顔色は少し悪くて、髪は跳ねている。
それから、額に巻かれた真っ白な包帯。
お風呂に入るためにそれを取ると、血の滲むガーゼを剥がした。
血はもう固まっているけれど、傷はそれなりに大きかったようで、ベッドの木材にぶつけたのか赤い一本の線が生々しくそこにある。
つー、と撫でると鈍い痛みが走った。
醜い私に、醜い傷が増えてしまった。
せいぜい全治3週間と言ったところだろうか。
まあ、大怪我をして迷惑をかけなかっただけ良しとしよう。
私は小さな溜息を吐くと、お風呂の冷たい床に足をつけた。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
