優しい声で、 ページ11
ますます止まらなくなった涙を、お茶子ちゃんがくれたハンカチで拭き取る。
すると、お茶子ちゃんは閃いたように笑った。
「そうだ、爆豪くんに電話しよ！ね？」
「……………ばくご、くん……？」
その言葉がすんなり頭に入って行く。
そうだ、爆豪くんの声が聞きたい。
でも熱を出した事を知られたら怒られる。
その気持ちが交差する中、会いたい気持ちが高まって苦しくなった。
「ごめんね、携帯借りるね」
お茶子ちゃんが私の携帯を持って、ぽちぽちとボタンを押した。
そしてお茶子ちゃんは優しく私の手にそれを持たせると、秒差でプルルルと音が聞こえた。
その音ですら刺激になって、頭がガンガンする。
でも爆豪くんの声は聞きたくて、携帯を耳から離せなかった。
プチリ、と音がして一瞬の静寂が走る。
『……どうした？眠れねえのか』
いつもより優しく聞こえるのは、私が弱ってしまってるからだろうか。
その優しい声に、不安が爆発して声がうまく出ない。嗚咽が出てきた。
何か言わなきゃいけないのに、声にならないし、そもそも言葉が出てこない。
『……おい、なんかあったのか？』
「……ぅ、…っく、」
「Aちゃん、携帯少し借りるね」
嗚咽で声が出ない私を見越してか、お茶子ちゃんが私の携帯を優しく取る。
お茶子ちゃんが携帯を耳に当てて話し始めた。
爆豪くんの声は聞こえない。
「うん、それで…」
携帯の中から聞こえる爆豪くんの声は、距離からか曇っていてほとんど聞こえない。
早く聞きたくて、寂しい。
しばらくして、会話が終わったのかお茶子ちゃんがもう一度携帯を私に渡した。
『……おい、』
携帯を耳に当てた瞬間、爆豪くんの声が聞こえる。
爆豪くんが小さく息を吸った音が聞こえる。
そして優しく、私に言った。
『お前はなんで泣いてんだ』
「…………なん、で…？」
なんでだっけ。と考えて、お茶子ちゃんと目が合う。そうだ、罪悪感と不安。
今だって、爆豪くんは私に付き合ってわざわざ起きてくれてる。
それが嬉しいのと同時に、不安になるのだ。
こんなに迷惑ばかりかけて、嫌われてしまうんじゃないかと思うと。
不安でいっぱいだ。
たくさん迷惑かけてる事と、そのうち嫌われてしまうんじゃないかと言う恐怖。
それから、お茶子ちゃんに対しての大きな罪悪感。
爆豪くんに個性の話が出来てひと段落、ではないのだ。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
