マヌケなヤツ 爆豪side ページ41
朝の気温は少し低い。
俺は温い布団から出る事をせず、目の前でスヤスヤと気持ちよさそうに眠っているそいつに肩まで掛け布団をかけた。
昨夜、泣いた後に疲れて寝てしまったこいつを部屋まで運んだ後、なかなか服を離さないものだから結局俺も寝てしまったのだ。
(…………マヌケな顔)
「…んぇ？…うーん…」
寝言でよくわからない事をぶつぶつと言いながらへにゃりと笑うそいつに無意識に口角が緩む。
泣いて腫れている赤い目尻を親指で撫でた。
Aはますますくすぐったようにもぞりと動いてふにゃふにゃ笑う。
(…笑うな、そんな顔で)
少し腹が立って強めに頬を抓るとすぐ眉間に皺を寄せて唸り始めた。
頬は白くて柔らかくて、食ったら美味そうだななんて訳のわからない事を考える。
こんな幸せそうなやつが、後1ヶ月ほどで死んでしまうなんてとてもじゃないが信じられない。
なんだか儚くて今すぐ消えてしまいそうで、細い身体を抱き寄せた。
「…んぅ、」
Aが苦しそうに身をよじる。俺は身体を少し離して頭を撫でる事にした。
紫色の髪に通した指はサラサラとなんの妨げもなくするりと下まで落ちていく。
…入学式の時より、いくらか色が濃くなっているような気がするのは気のせいだろうか。
別に、髪の色なんて気にしやしないけども。
「…ばくご、く…」
不意に名前が呼ばれた事に驚いて顔を見るが、瞼は固く閉じていて熟睡している事が見て取れる。
寝言か。と息をついた。
「ばくごうくん…す…」
最後なんと言ったか聞き取れなくて耳を澄ましたがAが口を開く気配はない。
思わせぶりな行動に腹が立ってもう一度抓ってやろうと頬に手を伸ばした。
そして俺の指は頬をするりと通り過ぎてぷくりとした唇に到達した。
そのまま唇をなぞり、優しくふにふにと押す。
薄く開いた唇から寝息が伝わって来ているのを感じる。
「…ん、」
声に反応してバッと大袈裟に手を離す。
驚いたからだろうか。心臓がバクバクと音を立てている。
(…………何、してんだ。俺)
バクバクと言う心臓の音が鳴り止まなくて、俺は少し名残惜しくも細い身体から離れて上半身を起こした。
今のはなかった事にしよう。
なんなら、一緒のベッドにいた事もバレないうちに部屋を出るしかない。
そそくさとベッドから出ると、寝返りを打った事でズレてしまっていたAの掛け布団をもう一度掛けて部屋を出た。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
