やる気と衰弱 ページ34
「おい、」
そう声を掛けられたのは、唐揚げ定食を食べ終え食器を返却した数秒後だった。
お腹も満たされ、午後の戦闘訓練も頑張ろうと意気込んでいると、爆豪くんに手を掴まれる。
何も言わずにその手を引かれ、食堂を出た。
「爆豪くん…？どうしたの？」
「顔色悪ぃ。気づかねえとでも思ったのかよ」
手首に巻きついたその手に力が込められる。
嘘をついているつもりも隠しているつもりもなかったのだけれど、そう思われても仕方ない。
確かに体調は良くなかったし、ダメそうだったら保健室に行こうと思っていたところだ。
「ごめんね。まだいけると思って」
「…すぐに休めって言ってんだろーが」
「うん、ごめん」
謝る事しかできない自分が情けない。
やる気はあるのに、まだまだやりたいのに。
身体は付いてこないのだ。
やる気とは反比例して、どんどん思い通りに動かなくなって行く。
今だって、戦闘訓練では出来るだけ体術などの激しい動きをしないようにしていた。
こんな鈍い動きでは身体が思い通りに動かない事がバレてしまうし、何より心配させてしまう。
「いつまで出来るかわからないから…」
「…………、」
着いた保健室の扉をガラリと開けるとそこにはデスクと椅子があってリカバリーガールが座っていた。
保健室独特の薬品の匂いがする。
爆豪くんは私を椅子に座らせると、リカバリーガールに説明らしきものをしだした。
「……本人も気がついているんだろうけど、運動ももう長くできないからね。無理をしたらなおさら期間が短くなるだけだよ」
「すみません…」
手に取るようにわかる自身の体の衰弱。
そしてそれとは真逆に湧き上がる諦めきれない気持ち。
少し悔しいけれど、わかっていた事だ。
むしろここまでいれた事の方がすごい。
「私もこんな事は言いたくないけど、やりたい事があるなら今のうちにしとくんだよ」
その言葉は重く低く、私の胸の底に沈む。
後悔しないで生きる。それは最も求めている事で、最も、難しい事でもあった。
なぜなら私の、「みんなともっと一緒にいたい」と言う望みは、もう叶わないからである。
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山野 珠雨(プロフ) - 梅姫美さん» ありがとうございます！これからもかっこいいかっちゃんをお届けできるように頑張ります！ (2018年9月15日 19時) (
レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
梅姫美(プロフ) - やだ。かっこいい。ありがとうございます。もう。はい。いい作品ではい。めっちゃいいとしか言えない。！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c23f604db7 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 桃兎さん» 返信遅くなり申し訳ありません！あなたのような優しい言葉を掛けてくれる方がたくさんいて本当に救われています。まだまだ未熟な私ですが、皆様の応援を糧に頑張ります！ (2018年8月20日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
桃兎(プロフ) - 初コメ失礼します！ 私もそんな沢山評価来る様な作品あまり作れませんが、コメント、評価の通知にビビる気持ち凄く分かります！ お話凄く面白いので、更新いつも楽しみです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 10時) (レス) id: 050cf08f0a (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - 苺デラックスさん» いつもありがとうございます！遅い更新になってしまいますが、最後までどうかよろしくお願いします。 (2018年7月29日 18時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 | 作成日時：2018年3月9日 23時
