せっかく出会えたのに。 ページ41
気付いた時には私は元いた場所に立っていた。
簡単には返してくれないと思っていたけれど、案外危害を加えられる事はなかったようだ。
走り込みでかいた汗は冷え切っていて、風が一層私の体温を低くさせた。
ぼーっと、立ち尽くしていて。
親が死んでいると知らされたにもかかわらず、涙すら出なかった。
私の中にある両親の顔はいつも蔑むような目で私を見ている。
まだ幼い私と両親3人笑顔で写っている写真が一つだけあるけれど、本当にそれだけ。
出来心だった。
“私の個性にはまだ先がある”。
その事実が頭の隅に引っかかっているだけで、何かができるとは思っていなかったのだ。
(……イメージ…して、)
足に力を集めるイメージをして、地面から飛んだ。
胃が浮く感覚がして、景色が一気に高くなった。
「…え…っ……うわッ…!!」
ふわりと身体が浮いた拍子にバランスを崩し、音を立てて地面に尻餅をついた。
地面についたお尻と手のひらがジンジンとする。
でもそんな痛みが気にならないほどに、私は高揚していた。
「私には”誰かのために使える力”があるかも知れない」という事実に堪らなく嬉しくなってしまった。
これはおそらく、『運動神経向上』に該当するものだ。私も誰かの役に立てるかもしれない。
爆豪くんの顔が浮かんだ。声が聞こえた気がした。
近づきたい、と確かに希望が。
けれど、そんな気持ちは一瞬で冷める。
「…………そっか、私…死ぬんだっけ」
尻餅をついたまま一瞬で冷めた気持ちを表すように肌寒い風が私の肌を撫でる。
嫌に息苦しくなって、痛む手のひらを握りながら立ち上がり服をはたく。
…一瞬でも無理な希望を抱いてしまうなんて。
私には誰かを助けられる個性も未来も、ないってわかっていたのに…。
その一瞬の希望で胸が痛くなった。
「……や、」
ーーーーーやだな、死ぬの。
なんて、今まで思わなかったのに。
絶対に思わないようにしてたのに。
自分に腹が立った。
今まで絶対に思わないようにしてきたその言葉を、たった一瞬の希望に流されて口から溢れでてしまいそうになった事が腹立たしかった。
だっていなくなったら、
死んだら、
1-Aやお茶子ちゃんや…
爆豪くんといた時間がなかった事になってしまうじゃないか。
………せっかく、出会えたのに。
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クーニャン(プロフ) - えーと、見失ったので、また見つけたら、連絡します。 (2018年10月13日 20時) (
レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - クーニャンさん» この度はお話を読んでいただきありがとうございます！寿命は16歳までの数ヶ月と言うのが正しいです！間違ってしまっている回がわかるのでしたらご報告いただければ修正してまいります！混乱させてしまって本当にごめんなさい！ (2018年10月12日 2時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - 初めまして、こんばんは。わからないところがあるので、質問です。ある回で16歳で死ぬ、残り数ヶ月。というのと、寿命が残り数年と書かれた回があります。どちらが正しいのでしょう？ (2018年10月11日 23時) (レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - tukihoさん» はい！頑張ります！！ (2017年12月31日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - 山野 珠雨さん» 受験生頑張ってください!!努力は報われます!! (2017年12月31日 1時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 x他1人 | 作成日時：2017年11月13日 18時
