忘れてね。 ページ31
雄英に近づくにつれて増えていく生徒の中で、無意識に今朝会ったばかりの爆豪くんの姿を探してしまう。
顔を合わせたところで弱虫の私には何も言えない事くらいわかりきっているのに。
「Aちゃん！怪我はッ…！」
「…お茶子ちゃん。おはよう
怪我はもう平気だよ。心配かけてごめんね」
しっとりと汗をかいているのは私の姿を見て走ってきてくれたからなのか。
ここに来て今更私は友達に恵まれてしまったらしく、心のどこかで望んでいた事のはずなのに、『大事に思われる』事がこんなに苦しいなんて知らなかったのだ。
「な、なんだぁ……平気…なんだ……」
本当に心底安心した、という様子のお茶子ちゃんを見てまた苦しくなった。
言わなければ。
私の個性なんだよって。
私はもう死ぬんだよって。
「…………うん、心配してくれてありがとう」
私はどこまでも最低でズルくて、いつだって自分のために他人を犠牲にするのだ。
私の隠し事に少しでも足をつけてしまった彼女には私の秘密を知る権利があるのに。
こんなにも心配してくれてるのに、まだ私は言えない。
嫌われたくない、一人になりたくない。
そんな事とうにどうでもよくなったはずなのに、肝心なここに来て今更そう思ってしまうのだ。
「死んじゃダメだよ！まだ駅前のパフェ食べに行ってないんだから！」
お茶子ちゃんは間違いなく私に『聞きたい事』があるはずで、なのにいつもと変わらない態度に辛くなる。
私が、弱虫だから。
私が言えないから、お茶子ちゃんはこうして気を遣ってくれてるのに。
「…楽しみに…してるよ」
ごめん。
その一言が喉の奥に突っかかって出てこない。
この一言を言いたいのに、それを言ってしまったら何かが終わってしまう気がする。
ごめんね、約束守れないかも。
口には出せないから、心の中で。
ごめんね、と何度も繰り返した。
嘘ついてごめんね、と感度も謝った。
お茶子ちゃんは、私のことを覚えててくれるかな。
そんな事を思うと同時に、みんな私の事を忘れてしまえばいいとも思う。
馬鹿な矛盾で、私自身忘れて欲しくないと思っているにも関わらず、誰かが私の死を嘆くなんて苦しくて耐えられない。
私がいなくなっても、泣かないでね。
全部、忘れてね。
なんて、狡い事を考えた。
優しいあの子が泣かないはずないのに。
きっとたくさん泣いて、それで…
私と違って強いあの子は、全部背負って前に進むのだろう。
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クーニャン(プロフ) - えーと、見失ったので、また見つけたら、連絡します。 (2018年10月13日 20時) (
レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - クーニャンさん» この度はお話を読んでいただきありがとうございます！寿命は16歳までの数ヶ月と言うのが正しいです！間違ってしまっている回がわかるのでしたらご報告いただければ修正してまいります！混乱させてしまって本当にごめんなさい！ (2018年10月12日 2時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - 初めまして、こんばんは。わからないところがあるので、質問です。ある回で16歳で死ぬ、残り数ヶ月。というのと、寿命が残り数年と書かれた回があります。どちらが正しいのでしょう？ (2018年10月11日 23時) (レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - tukihoさん» はい！頑張ります！！ (2017年12月31日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - 山野 珠雨さん» 受験生頑張ってください!!努力は報われます!! (2017年12月31日 1時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 x他1人 | 作成日時：2017年11月13日 18時
