初めまして、 ページ22
咳をする度に口の端から伝うのは赤い液体で、個性のせいで寿命が近い自分の身体が脆くなっている事実をようやく思い出した。
脆い身体は蹴りに耐えきれないようだ。私の寿命はさらに縮まってしまったのかも知れない。
「………私、もう死ぬのかな…ゴホッ」
「ははっ、無様な個性だなァ…」
そんなのわかってる。と縛られて手を強く握った。
無様でも醜くてもいい。なんでもいいから、せめてみんなの踏み台になれればいいのに。
私には踏み台になる価値もないなんて。
「死柄木弔。」
「…黒霧、こいつ連れてけ」
私の方を見てそう言った死柄木弔と言われる男に警戒した。
さっき見た未来のことを思い出して、次に視界が開けるのはあの場所なんだ、と。
そのまま私は黒い靄に包まれる。
視界に明かりが差した。
目を開けばそこはバーで、あのシーンと一致する状況にいっそ笑えるくらいだ。
縛られた手足を動かしてもやっぱり取れそうにない。
「やあ、」
どこから聞こえるかわからないその声に辺りを見回すと、前にモニターがあるのがわかる。どうやら声はそこから聞こえるらしい。
「初めまして。」
その声は妙な威圧感があって居心地が悪い。
唐突に爆豪くんの声が恋しくなって、拳を握りしめた。
「今日は個性の話をしようか」
その口から語られたのは途方も無いヴィランの闇。
私の生きてきた全てを全否定するような事実。
『個性を植えつけられる』という、闇の事実。
そんなの、嘘に決まってる。
だってそしたら、今まで苦しんでも生きてきた私の全てがなかったことになってしまう。
「君はどうせもう死ぬんだ。なら最後に賭けてみればいい」
その通りだ。私は死ぬ。ならその闇と言う名の希望に賭けて見たほうがいい。
死んだら死んだで数ヶ月早まるだけ。
成功したら私はもっと長い間生き続ける。
『ヴィランに個性を植え付けられた人』として。
きっとヒーローにはなれないし、雄英のみんなとも2度と会えない。
…合わせる顔がないから。
「………やっぱりいらない」
「なら、『その個性の使い道は他にもある』と言ったら？」
え…と俯いていた顔を上げた。
その時、胸の奥が焼ける感覚がして身体に力が入る。咳き込んで出た血液はさっきよりも濃く多い。身体の奥が痛い。
「…今日は限界のようだね。またおいで」
その声に反論する暇もなく私は今日何度目かの靄に包まれた。
次に目を開ける時は、”あの人”がいますように。
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クーニャン(プロフ) - えーと、見失ったので、また見つけたら、連絡します。 (2018年10月13日 20時) (
レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - クーニャンさん» この度はお話を読んでいただきありがとうございます！寿命は16歳までの数ヶ月と言うのが正しいです！間違ってしまっている回がわかるのでしたらご報告いただければ修正してまいります！混乱させてしまって本当にごめんなさい！ (2018年10月12日 2時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - 初めまして、こんばんは。わからないところがあるので、質問です。ある回で16歳で死ぬ、残り数ヶ月。というのと、寿命が残り数年と書かれた回があります。どちらが正しいのでしょう？ (2018年10月11日 23時) (レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - tukihoさん» はい！頑張ります！！ (2017年12月31日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - 山野 珠雨さん» 受験生頑張ってください!!努力は報われます!! (2017年12月31日 1時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 x他1人 | 作成日時：2017年11月13日 18時
