鎖の音 ページ21
この人は私より私の個性の事を知っているのかもしれない。その勝手な妄想につられて顔を上げる。
でもそれ以上に、こんな事をしてる間にも相澤先生やみんなはどこかで何かと戦っていて、自分の無力さが嫌になった。
「新しい個性が欲しくないか？
そんな制限付きの個性じゃなくてさぁ、」
タイムリミットなんてなければよかった。
もういっそ死んでしまいたい。
そう思った事は数知れない。けれど、
「………いらない」
「…はァ？」
「少なくとも、貴方なんかにもらう個性なんて欲しくない。」
もし新しい個性が手に入ったとしても、『ヴィランからもらった個性』と言う重りは死ぬまで私にまとわりつく。
そんなの、今の苦しさと変わらない。
「…チッ、腐ってもヒーローの卵か」
ガッと言う音とともに腹部に衝撃が走った。
口から空気の塊が出て咳き込む。
衝撃で鎖がガシャンと音を立てて逃げ場がないことを改めて自覚した。
「…先生に言われてるんだよ。お前をヴィラン連合に連れてこいって。…ああ、なんで上手くいかないかな…」
腕や足、腹部。色々な場所に次から次へと痛みが走った。呻き声をあげる事しかできず、蹴りつけられるのを黙って受け入れる事しかできないのが悔しかった。
その時、血飛沫が飛び散る音が聞こえ、ハッとして相澤先生の方向を向く。
「っ…」
黒くて脳がむき出しの生き物が相澤先生に馬乗りになり相澤先生の腕を掴んだ。
バキッという音とともに相澤先生の腕が折れ曲がる。
流れる血。血。血。骨が折れる音。皮膚が裂ける音。血飛沫が飛び散る音。
「やめてっ…」
「うるっさいなァ…自爆しかできない役立たずのくせに…ッ」
鳩尾を蹴りつけられて息が止まった。
鎖が鳴る。呻き声とわずかな息しかできなくて、必死に相澤先生を助けようとした。
鎖はビクともせず、ただ不快な音を鳴らすだけ。
悔しい。
こんな感情とっくに無くしたのかと思ってた。
でも今は、仲間を助ける事も、私を助けようとする先生に駆け寄ることもできない。
それが堪らなく悔しい。悔しくて悔しくて堪らない。拘束が解けたって何ができるわけでもないのに、この耳障りな音を鳴らす鎖が煩わしくて仕方なかった。
「…ああ、殺しちゃいけないんだった」
ピタリと止んだ蹴りにようやく息が整う。
その時何かがこみ上げるような感覚がして俯いた。
うっ、と声をあげてゲホッと数度咳をあげればポタリ、と何かがこぼれ落ちる。
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クーニャン(プロフ) - えーと、見失ったので、また見つけたら、連絡します。 (2018年10月13日 20時) (
レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - クーニャンさん» この度はお話を読んでいただきありがとうございます！寿命は16歳までの数ヶ月と言うのが正しいです！間違ってしまっている回がわかるのでしたらご報告いただければ修正してまいります！混乱させてしまって本当にごめんなさい！ (2018年10月12日 2時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - 初めまして、こんばんは。わからないところがあるので、質問です。ある回で16歳で死ぬ、残り数ヶ月。というのと、寿命が残り数年と書かれた回があります。どちらが正しいのでしょう？ (2018年10月11日 23時) (レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - tukihoさん» はい！頑張ります！！ (2017年12月31日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - 山野 珠雨さん» 受験生頑張ってください!!努力は報われます!! (2017年12月31日 1時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山野朱雨 x他1人 | 作成日時：2017年11月13日 18時
