恐怖と絶望と失望と ページ20
そのヴィランは丁重な言葉で私たちに言ったその目的は私の見たあの映像は繋がらない。
(…オールマイトの殺害…？)
なら私は人質として連れて行かれるのだろうか。なら私は人質として足を引っ張らないようにせめて捕まらないようにするのが"私のできること"？
そんなことが可能かどうかはわからない。
私なんかじゃ逃げるどころか簡単に連れて行かれてしまうのかもしれない。
途方も無い絶望に私はただ立ち尽くした。
その時、ワープの黒い靄が私たちを包む。
逃げている暇なんてない。
なすすべもなく私はその靄に飲み込まれた。
次に視界が開けたのは背中に痛みと衝撃を感じた時だった。
目を開いた時、私は既に硬い鎖で手足を縛られていてさっき見た未来が蘇る。
あれは夢などでは無いと。
「未時ッ!?」
「！相澤せっ…」
その時、グイッと体が引っ張られてガキんと音がした。
地面に無理矢理つきたてられた鉄のパイプに手足の鎖を引っ掛けられ、逃げ場がない。
「残念。お前はこっちだ」
見上げれば声の主は未来で見たあの人。
怖くて体が震えた。
ヒーロー志望のはずなのに。
これでも雄英の生徒のはずなのに。
恐怖に怯えることしかできず目の前で1人で戦う先生の援護もできない。
立ち向かう勇気もない。
「先生…相澤、せんせっ…」
喉から出た声は明らかに助けを求める声で、そんな自分になおさら失望した。
先生に助けを求めるなんて、できるだけ足を引っ張らないと決めたのに。
「そんなに先生が心配か？」
黒い服を着て身体や顔に手をつけた青年が可笑しそうに私を見た。
それは私を嘲笑うようで、徐々に身体が凍りついていく。
「バカだなァ、そんな個性で誰かを救えるわけないだろ？」
「っ…!?」
ねっとりと粘ついた声が耳に絡みつく。
寒気がして一瞬息が止まった。
私の個性なんて、先生しか知らないはずなのに。
「なん、で……知って…」
「なんだっけ、…ああ、タイムリミット。
自爆の没個性だ。」
……息ができない。
何かに潰されてるような感覚になって、ヒュッと喉が音をならせた。
そのうち喉が張り付いて咳き込む。
恐怖と絶望が入り混じって声が出ない。
「今日来たのはお前に教えてやる事があったんだ」
不気味な笑い声に体が強張る。
その時に感じた恐怖と絶望は、まるで1人冷たい水底にいるような気分だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 616人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クーニャン(プロフ) - えーと、見失ったので、また見つけたら、連絡します。 (2018年10月13日 20時) (
レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - クーニャンさん» この度はお話を読んでいただきありがとうございます！寿命は16歳までの数ヶ月と言うのが正しいです！間違ってしまっている回がわかるのでしたらご報告いただければ修正してまいります！混乱させてしまって本当にごめんなさい！ (2018年10月12日 2時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
クーニャン(プロフ) - 初めまして、こんばんは。わからないところがあるので、質問です。ある回で16歳で死ぬ、残り数ヶ月。というのと、寿命が残り数年と書かれた回があります。どちらが正しいのでしょう？ (2018年10月11日 23時) (レス) id: 5eb4794cf2 (このIDを非表示/違反報告)
山野 珠雨(プロフ) - tukihoさん» はい！頑張ります！！ (2017年12月31日 1時) (レス) id: 0e524395ac (このIDを非表示/違反報告)
tukiho(プロフ) - 山野 珠雨さん» 受験生頑張ってください!!努力は報われます!! (2017年12月31日 1時) (レス) id: 296f9ab165 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山野朱雨 x他1人 | 作成日時：2017年11月13日 18時
