『 First love （２）／R.Meguro＆S.Michieda 』 ページ3
❄️
「はい。失礼します。」
ほんの少しだけ、椅子を寄せて…道枝くんは、ゆっくりと腰を下ろした。
「新しいドラマの撮影、始まった？」
「はい。」
事務所入りのキッカケになったドラマが、８年ぶりに復活する事になって…５代目となる、その主演に抜擢された道枝くん。
やっと、彼の笑顔が見れて…ホッとして……嬉しくなる。
「びっくりしました。また一緒に表紙と特集ページの撮影出来るなんて、思ってなかったんで…めっちゃ、嬉しいです。」
ほんの少し俯いて、そう呟く道枝くんの顔が……赤くなった気がして。
なぜか………動揺する、俺。
・
「俺も、嬉しいよ。」
その声に思わず、顔上げたら…柔らかく微笑う、目黒くんがおって。
その笑顔が、めっちゃカッコよくて……また、胸が苦しくなる。
何なん……？
どないなってんの……？
俺の………心臓。
「道枝くん？」
「……えっ、あ、はい！」
「どうした？ 調子悪い？」
「あ、いやっ…大丈夫！ 元気です,」
「………そう。だったら、いいけど。」
“目黒くんに、見惚れてた。”なんて、言える訳もなくて。
本気で心配してくれてんのが、分かるから……めっちゃ、申し訳なくなった。
・
体調が悪い訳じゃないみたいで、ホッとする。
でも………やっぱり、何か変だ。
相変わらず、顔が赤いし。
部屋に入ってから、ずっと…全く、俺を見ようとしない。
・
「道枝くん。」
すぐ近くで聞こえた声に、顔を向けると…
マスクがなかったら、息がかかりそうなくらいの距離に…目黒くんの顔があった。
「ごめん。今だけ、ディスタンスなしで。」
「えっ…」
「道枝くんさぁ…やっぱ、顔赤いよ。」
「えっ？」
「ホントに、大丈夫？」
ますます近づく、目黒くんの顔………あかん。心臓、もたへん！
「あっ…は、い。ホンマに、大丈夫なんで。なんか……心配かけて、ごめんなさい。」
黙ったまま、俺を見つめる……目黒くん。
……………あかん。
完全に、気づいてしまった。
目黒くんのこと……………す…………………………
「………呼ばれたよ。衣装、着替えに行こうか。」
俺の髪に、優しく“ポン”と触れて………目黒くんは、立ち上がった。
❄️
『 レンズの向こう側／K.Mukai＆R.Meguro 』 【2022.2.11】→←『 First love （１）／R.Meguro＆S.Michieda 』
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作者名：愁(ｼｭｳ)
作成日時：2021年11月26日 10時
