匂恋。３ (ページ33)

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___ 家。ページ33

紫耀が裏切った？

紫耀に、裏切られた？

…廉が、嫌い…

正直、もうよく分からない…

でも…

『…そう、だよね…
…私が悪かったから…
ごめん。
せっかく助けてくれたのに…』

今の私には、廉の言い分が正しく思えてしまう。

「や、俺別にそんなつもりやなくて…」

今、廉と喧嘩しても仕方がない。

…だってもう…

…私は紫耀とは終わってるんだから…

『廉、なんか飲む？
あ、お腹は空いてない？
って言っても大したもの無いんだけど…』

「あ、何でもええよ。
お腹は食べてきたから大丈夫」

『そっか。じゃあちょっと待ってて』

相手は、廉。

ずっとずっと、嫌いな人。

だけどやっぱり部屋にいるとなると
なんだか変に緊張する。

「…なぁ、まだ紫耀の事好きなん？」

ミルクティーを出すと、
廉が悲しい顔をして訪ねてきた。

『なんで？』

「ぬれおかき…
紫耀の好きなもんあるから…」

私はなんてバカなんだろう。

廉に言われて気づくなんて…

無意識だった。

あの日、紫耀に美味しいよって
おススメされた日からずっと、
紫耀の習慣が私の習慣になっていたんだ。

やっぱり私…

『…私から、紫耀が消えないの…』

涙が零れた。

『…っ、やだ、ごめんね。
嘘。紫耀の事はもういいの。
…それより、廉、寝る時どうする？
その格好じゃ寝れないよね？
あ、私のスウェットならあるけど…
私のじゃ小さいよね(笑)』

まだ私が紫耀を思ってる事。

恥ずかしくて…テンパってしまう。

…だって…

きっともう紫耀には新しい女の子がいて、
廉だってそれを知ってるはず。

私なんかがずっと紫耀にすがって…情けない。

そんな私の心を見透かされる前に
明るく接しているのに…

廉は真剣な眼差しで私を見つめ、
そのまま優しく私を抱きしめた。

『…ちょ、やめ…』

「お願いだから、俺を見て…
…俺を、選んでや…」

ここで廉を選んだら、
…私は楽になる。

私を好きだと、
…私を必要としてくれてる人だから…

だけど…