匂恋。３ (ページ17)

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___ 提案。ページ17

「あ、あとこれも自己中かもしれないんだけど
Aちゃん、これから仕事困るじゃん？
もし良かったらなんだけど…
俺の大学からの友達が一人でお店やってて、
そいつにAちゃんの事話したら
俺の店に来て欲しいって…
…Aちゃん、お客さんからも評判良いし…
…まあ、Aちゃんが良ければなんだけど」

…私を思ってくれる人がいる。

私、恵まれてるよ…

『ぜひ、そちらで…』

「だけどその店、大阪なんだ…」

…大阪…？

「もちろん、俺らの都合だから
向こうでの家とか引っ越し費用とかは
全部俺らがどうにかする」

…大阪に行けば…

…東京を離れれば、紫耀を忘れられるかな？

紫耀と過ごしたここにいるから、
紫耀を思い出してしまう場所が沢山だから…
いつまでも前に進めないのかもしれない。

もう、紫耀を忘れたいよ…

『…私なんかで良ければ、
私、店長のお友達のお店で働きたいです。
大阪、行きたいです』

「え、ほんとに？
無理してない？」

『無理なんかしてませんよ(笑)』

「だって地方からわざわざ東京に来たのに
こんな俺の都合で…」

『東京はもう良いんです。
もう満足しました(笑)
店長と、店長のお友達の期待に応えたいんです』

…そう。

これでいい。

これが、いいんだ…

紫耀に会わない、…連絡もしないで
私は東京を出て、大阪に旅立った。