匂恋。３ (ページ14)

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___ 紫耀。ページ14

紫耀side

佐江ちゃんの横で寝ている、
佐江ちゃんの友達は、Aやった…

「…この子、Aっていうんだけど…」

…この感じやと、佐江ちゃんは
Aと俺が付き合っとる事を知らない。

なら俺も、Aが隠し通してくれてる事実を
貫き通さなきゃ…

「この子の家どこ？」

「ここからだと車で20分くらいかな」

佐江ちゃんがAの住所を丁寧に教えてくれる。

…知らないフリをすんのも、しんどいもんやな…

「じゃあ紫耀…」

「佐江ちゃんの家すぐそこやろ？
悪いけど、歩いて帰って」

「…え？私もAのお家までついてくよ。
今の説明だけじゃ分かんないでしょ？」

「ナビあるし、佐江ちゃん明日も仕事やろ？
佐江ちゃんも飲んだんだし、はよ家帰り？」

Aと二人になりたかった一心が、
今思うと…佐江ちゃんの逆鱗に
触れてしまったんかな…

きっと…
佐江ちゃんは俺を本気で好きになってたから、
なんとなくでも、俺とAの関係に気づき…

…それで、わざわざ匂わせた。

生半可な関係を続けた、俺のせい。

A…

好き。大好きだよ。

あの日から１ヶ月が経ったけど…
今でも気持ちは変わらん。

他の女に逃げてたあの頃の弱ってた俺は、
今のままじゃAを幸せにすることは
できないって思っとった。

せやけど今思うと
弱いくせに、強がった自分がばかみたいや。

Aが隣におる事が、
あんなにも幸せやったんだもん…

なぁ、お願い…

もう一度会いたい。

Aと、もう一度恋がしたい。

後悔ばかりが募る毎日やった。