匂恋。３ (ページ13)

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___ 紫耀。ページ13

紫耀side

もう、何を言ってもダメな気がした。

Aの気持ちは、変わらない。

小さな肩を小刻みに震わせて
泣いてるAを見とったら、
Aをどれだけ苦しめたか思い知らせれる。

「…俺こそ、ごめんな…」

全部俺自身がしでかした事。

…自業自得やって分かってるけど…

「…俺、別れたくないよ…」

『…私なんかと、別れたくないって
思ってくれてありがとね。
私も、別れたくはない。
だから…距離を置きたいの…
もう一度、お互い見つめ直そ？』

今日初めて見た優しい笑顔で
Aが俺に問いかけたから…
俺ももう…頷くしかできなかった。

抱きしめたくなる衝動に駆けられ
思わず手を伸ばしたけど…
Aが気づく前にすぐに腕を引っ込め、
俺は部屋を出た。

俺が扉を閉めた瞬間に聞こえた、
Aの泣き声。

俺も、涙が頬を伝う。

…女関係で泣くなんて、初めてだ…

…あの日は、前兆だったんだんかな？

佐江ちゃんとAが飲み行った日。

少年収の前に、佐江ちゃんと体を重ねた。

まさかキスマを付けられてたなんて
気づきもせんかった。

…体を重ねていても、
佐江ちゃんに気持ちは無かったから…

ずっと、頭の中にはAしかおらんくて、
…Aの事を思っていたから…

「友達が酔い潰れちゃっててさ…
私一人じゃ介抱できないから、
紫耀、迎えきてくれる？」

少年収が終わり、佐江ちゃんからの電話。

いつもなら面倒くさいから断るんやけど、
佐江ちゃん達が飲んでる場所が近かった事もあり
仕方なく向かった。

「あ、ごめんね紫耀」

佐江ちゃんと会った一瞬、
息をするのを忘れた。