匂恋。３ (ページ2)

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___ 来客。ページ2

コンコン

「Aちゃん、休憩入ったばかりで悪いけど、
Aちゃんにお客さん来てるから
外出てもらってもいいかな？」

『…お客さん？』

「うん、サングラスかけた男の人。
…彼氏？(笑)」

…彼氏？

…紫耀…？

いやでも、こんな昼間に…？

また少しの期待を持ち、外に出ると…
店の前に立つ、紫耀がいた…

『…紫耀？』

「…A、久しぶり」

『久しぶりじゃないよ…
なんで？なんでここに…
仕事は？』

「今から仕事なんやけど、
Aに会いたなって」

『…とりあえず、ここじゃまずいから
こっちきて？』

人目がつかない店の間に、紫耀と２人。

久しぶりの、紫耀…

「ごめんな、最近なかなか会えんくて」

『仕事忙しい？』

「うんまあそうやなぁ…」

『身体は壊してない？大丈夫？』

「…大丈夫だよ」

『…それならよかった。
あ、紫耀映画おめでとう』

「あ、そう!!ラインありがとな」

紫耀が私に会いにわざわざ来てくれた事で
さっきのモヤモヤが薄れていた。

私、単純だなぁ…(笑)

でもやっぱり、紫耀が好きなんだもん…

『映画も決まって大変だと思うけど、
体は大事にしてね？
なんかあったらすぐ私に言ってね？』

「…うん、ありがとう。
じゃあ俺もう行くな」

『…待って、少しだけ充電してもいい？』

「充電？」

不思議そうな表情の紫耀に、抱きつく。

この甘い匂い、筋肉質な身体…

紫耀とぎゅーってすると、
いつでも安心できる。

「珍しいな、Aからなんて(笑)」

五分も経ってない短い時間だったけど、
久しぶりに紫耀と会えたことが嬉しくて…
いつもならきっと気づくはずの
紫耀の偽物の笑顔に、気づかなかった。