匂恋。３ (ページ1)

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___ 映画。ページ1

あの旅行の日から二週間が経った。

最近、お仕事が忙しいみたいで、
会えないのはもちろん、連絡すら取れてなくて。

疲れてたりとか、誰かといたりとかしたら
申し訳ないから私から電話もできず…

紫耀の声、聞きたいのに…

テレビにも出る訳じゃないし、
今の私、ファンとしても彼女としても…
紫耀に満たされていないよ…

紫耀とのラインを見返す。

お互い一行ずつの、閑寂なやりとり。

わがままだって分かってるけど…
あの旅行で紫耀と３日ずっと一緒にいれて
幸せだった分、寂しさが募るの。

…でも、そろそろ仕事行かなきゃ…

重たい腰をゆっくりと上げると

「来年春、ジャニーズJr.平野紫耀さんの
主演映画が公開されます」

テレビから聞こえた、紫耀の名前。

…え？

紫耀、主演映画決まったの…？

紫耀の公式写真と共に、
アナウンサーが映画の紹介している。

よく、耳に入ってこなかった。

もちろん、紫耀の活躍は嬉しいけど…

口止めされてたのかな？

それとも…私は紫耀の特別じゃないのかな…？

映画決まった事、紫耀の口から聞きたかった…

複雑な気持ちは残したまま、
…とりあえず、紫耀にライン入れとこう。

“映画おめでとう”だけ送り、
私は仕事へと向かった。

『はぁ～…』

「Aちゃん、疲れた？」

お客さんで賑わうお昼のピーク時は
忘れられていたのに、
落ち着くとやっぱり頭の中は紫耀の事だけ。

『…え？』

「ため息なんてついて、どうした？」

無意識にため息が零れたらしい。

『…あ、うそ…
すいません、仕事中にため息なんてついて…』

「お客さんいないから良いんだけど、
…体調悪い？そろそろ休憩にする？」

体調は良いんだけどなぁ…

『すいません、じゃあ休憩入ります…』

心配してくれてる店長の気遣いを受け入れ、
私は休憩に入った。

少し期待して携帯を開く。

…紫耀からの返信は、無し。

なんか、涙が出そう…