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ぴたり、と動きを止める二人
「え、僕何かした・・・？」
ううん、と雅紀が言う
「笑い顔、変わんないなって思って。お帰りっ・・・お帰りなさい、翔ちゃん」
「待たせすぎなんだよ、また明日って別れたくせに。何年かけてんだよ翔くん、馬鹿。馬鹿野郎」
二人の目に光る涙
ああ、僕は本当に馬鹿だな
何であの頃は、二人のこと本当の友達だって思えなかったんだろう
こんなにも、僕のことを想ってくれているのに
「ただいま・・・待たせてごめん」
僕の言葉に、二人は泣きながら笑ってくれた
僕が眠っていた八年間の出来事を二人からいろいろ教えてもらっている時だった
ばたばたと廊下を駆ける音が、遠くから聞こえてきた
「誰だ？病院の廊下走るなんて非常識な奴」
注意してくるかな、と潤が立ち上がろうとした時
僕の病室に近づいてきていたそれは、まさしく目の前で止まった
そして、
「翔！！」
勢いよく開けられた扉の向こう
息を切らして立ち尽くす、二人の人間の姿
「あ・・・」
目元だけじゃなく、額にも皺が増えていて
髪の毛も白いものが少し混じり始めているけど
それでも、見間違えるはずなどなかった
「良かった、ああ。夢じゃないのね、本当なのね・・・」
「っ、よく頑張った・・・頑張ったな、翔」
恥も外聞もなく、ぼろぼろに泣きながら駆け寄ってきて腕を伸ばす
そんな彼らの姿を見て、僕の頬にも涙が伝う
「お母さん・・・お父さん・・・！」
サトシくんの言うとおりだ
子供のことを嫌いな親なんて、いないんだね
二人の腕の中
きつく抱き締められながら、胸の中に温かいものが広がるのを感じた
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
