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その光景は、何だかとても儚くて神々しくて
簡単に声をかけれる雰囲気ではなかった
戻ろうとして動いた際
左手のブレスレットが生垣に引っかかり、パキンと小枝の折れる音がして
その音にサトシくんが顔を上げる
「あ・・・」
「起きたのか、ショウ」
柔らかい陽射しを受けたその顔は、穏やかな笑みを湛えていた
ここは霊園で、石碑は王宮に棲む人々の墓なんだとサトシくんは教えてくれた
「サトシくんはここで何してたの？」
「ん？・・・カズナリに報告してなかったからな」
そう言って僕を手招きする
ニノの墓だよと言って指し示したそれは、他のものより一際大きく綺麗だった
「あいつは自分の運命を知ってた」
僕もお祈りをした後、ニノの墓の前に二人で座り込む
爽やかな風が、僕より高い位置にあるサトシくんの髪を揺らす
「カズナリはこの戦いが始まってすぐ、未来を覗いたんだ。そして自分が死ぬと同時に争いが終わることを知った」
それは、ニノがまだ十歳のときのことだったという
そしてニノはサトシくんにあるお願いをした
「何だと思う？」
「え、うーん・・・。サトシくんに守ってほしい、とか？」
「残念、全く逆だ。・・・あいつは、俺に自分の墓を作ってくれって言ったんだ」
サトシくんのお爺ちゃんは王宮に出入りする大工だった
その血を強く引いていたサトシくんも手先が器用で、どうしてもとお願いされて渋々作ることになったのだという
「カズナリは言ったんだ。自分は死ぬ運命にある、この未来は変わらないって。だからやがて来るその日に向けてずっと準備を続けていた。・・・俺は、それを止めれなかった」
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しゅり(プロフ) - 乃絵さん» コメント有難うございます。乃絵さんの心に触れる作品を書けたこと、嬉しく思います。悲しい終わり方だけれども、どこか救われるものがあればいいなと思い書いた作品なので、素敵な感想頂けて安心しました。楽しんでいただけて何よりです！ (2016年5月13日 10時) (
レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
乃絵(プロフ) - 完結おめでとうございます。世界観に引き込まれて読んでいました。中心の3人がそれぞれの優しさで世界を動かし、胸が詰まる思いでした。先の世でカズナリとサトシ、出会えるといいなと思います。読ませていただいてありがとうございました。 (2016年5月1日 14時) (レス) id: 40036218a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年4月15日 19時
