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あの男は普通の者ではなく、立派な誇り高き職人である
その道を極めているからこそ、この土地では十分な仕事を行えないと、この家で暮らし始めた時にはっきりと告げていた
それを、少し悲しげに聞いていたあの子の横顔を見たのは、一年程前の事
あの子はこの一年、あの男と生活を共にする中で一つの決意を固めていた
『父上、大事なお話があります』
どんなに大きくなっても、子どもの雰囲気が抜けなかったあの子が
『私は、智さんの花器に惹かれています。彼の腕が最も輝く場所で、智さんと共に在りたいと願います』
いつだって、奉公人に頼ってばかりだった、泣き虫なあの子が
『この家を出て智さんの元に嫁ぐことを、お許し下さい』
あんなに真っ直ぐと、力のある瞳をするようになっていたなんて、私は少しも気づかなかった
幼き頃からの思い出の詰まったこの家は、明日から他人の手に渡る
あの子の父親も奉公人も、共にこの土地を出て行くことを決めた
私はそれを、何も出来ずに見ているだけだった
来月に控えた結婚に先立ち、明日住み慣れたこの家を出て行くあの子に、私は何が残せるだろうか
庭の端にひっそりと立つ、しがない桜の樹でしかない私に、一体何ができるだろうか
あの子の命の灯火が、ずっとこの家で続いていき
それをこの身が朽ちるまで見護り続けることこそが私の宿命だと信じていたのだが
それがこういう形で終わりを告げるだなんて、思いもしなかった
けれども、これが私の運命だというのなら
受け入れなければならないだろう
家族の揃う最後の日を、私は大事に噛み締めていきたい
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しゅり(プロフ) - 珠櫻さん» 珠櫻さん、コメント下さってありがとうございます！もっと早く後日談を書けたらよかったんですが、こうして嬉しいコメントいただけると励みになります(*´-`) 語り過ぎだなんてそんな！とてもありがたい限りです笑 お返事遅くなってしまってすみませんでした(>_<) (2016年11月15日 1時) (
レス) id: f8f8092535 (このIDを非表示/違反報告)
珠櫻(プロフ) - 初めまして。しゅりさんのお話たくさん読ませていただいています。今回、あの雨やどりのお二人の続編を書いてくださったので、とても感動して、顔を出しに来てしまいました。本編の空気感もすごく好きで……。語りすぎてすみません(笑)、これからも応援しています＾＾ (2016年11月13日 20時) (レス) id: 479476fc15 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 碧李さん» 碧李ちゃんお久しぶり！これからが本番なんですよ・・・彼の言葉を借りるなら、“マラソンの最初の休憩所”ってとこでした笑 わちゃわちゃ櫻葉を書けて私も満足中(*´ω`*) 暴走しちゃって相葉くんを楽しんでもらえて良かった良かった！ (2016年10月9日 1時) (レス) id: b35118ee50 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 乃絵さん» 乃絵さん！この作品も見てもらえてる上に、そんな素敵な褒め言葉・・・嬉しすぎます！櫻葉らしさを表現できたらと思ってたので、良かったです(´∀｀*) 中々更新出来てないですが、書きたい小ネタは沢山あるので、ひょいと足を運んでいただければ嬉しい限りです！ (2016年10月9日 1時) (レス) id: b35118ee50 (このIDを非表示/違反報告)
碧李(プロフ) - しゅりちゃん！！お久しぶりだね（ ; ; ）忙しさも落ち着いたのかな…と思いながら今回のお話も楽しませて頂きました！！櫻葉のやりとりがすごい可愛くてずっと笑いながら見てた(笑) (2016年10月8日 7時) (レス) id: d8d6835fa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2016年7月31日 9時
