2 ページ3
俺がここまで慌てたのは、突然話しかけられたことに驚いたからではない
どちらかというとインドア派な俺だが、人と話すのは得意な方だと自負している
営業で初めて会う人とも良好な関係を築けているし、評判もいい
そんな俺がここまで戸惑ったのは、彼の容姿のせいだ
薄暗い店内の全ての明かりを集めているかのようなきらきらした瞳と、それを縁取るはっきりとした二重瞼
まるで化粧をしているかのような、鮮やかな唇
俺の周りにいる大人と違って明るめの髪は、首を傾げるとふわりと揺れる
不躾な視線をよこしているにも関わらず、彼は依然として人好きする笑顔を見せながら口を開いた
「僕も好きなんです」
「へぇ！？」
心臓が一気に跳ね上がる
「その本、お取りになろうとしてましたよね？」
「あ、はい、えっと・・・まさか初版を売ってる店があるとは、思ってなかったので」
店内が暗くてよかった
とんでもない勘違いと彼の言葉で、今の俺の顔は真っ赤だろうから
「僕も彼の大ファンで、初めて目にした時には感動しました。まさか、初版の装丁だと気づかれるお客様とお会いできるなんて、思ってなかったから・・・」
はい、と差し出されたタオルを条件反射で受け取る
少し触れた指先に、静まっていたはずの心臓が、再び騒ぎ出す
「だから是非、手にとってご覧になってください」
言って、目を細めて笑った
何処からか風が吹き抜け、世界が色づく感覚
ああ、俺は知っている
これはあれだ、間違いなくそうだ
俺はこの店員に、恋をした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 339人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅり(プロフ) - 碧李さん» 私も本当に嬉しいです！ありがとうございます(*^^*)絶賛下書き中の物が幾つかありますので、早くお出しできる様頑張ります！！ (2016年6月23日 22時) (
レス) id: 9a9d81112b (このIDを非表示/違反報告)
碧李(プロフ) - しゅりさん» 本当ですか！？ありがとうございます(^ ^)すごい嬉しい(泣)2人の世界を見守りつつ、しゅりさんの新作楽しみに待ってます( ^ ^ )/■(笑) (2016年6月22日 21時) (レス) id: d8d6835fa4 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 碧李さん» 感想ありがとうございます！碧李さんの作品を何度も拝見したことがあったので、まさかコメント頂けるなんて、動揺が隠せないです。まだまだ至らない私の作品ですが、この二人の世界を見守って頂けたこと、感謝です！！ (2016年6月18日 15時) (レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
碧李(プロフ) - 完結おめでとうございます。温かみがあり、どこか強さを感じる作品にとても感動しました。すごく胸が締め付けられました。素敵な作品をありがとうございました！ (2016年6月18日 12時) (レス) id: d8d6835fa4 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - えりかさん» 素敵な感想ありがとうございます！この作品を書くに至り、歌詞の持つ意味について色々と気付く点もありました。悲しいだけではなく、何処かに救いがある話しにしたいと思っていたので、そう言っていただけると安心しました。是非、聞いてみてください(*^^*) (2016年6月17日 22時) (レス) id: 642534afe5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅり
| 作成日時：2016年5月28日 10時
