死神くん ＊OS＊ …1 ページ1
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「はい、確かにお受け取りいたしました」
「ん。よろしくね」
「勿論です！先生の作品を無事に世に送り出す事が私の仕事ですから！」
先生と呼ばれた男の手から分厚い原稿が手渡される
編集者の男は受け取った原稿を封筒へ戻し、しっかりと紐で綴じた
封筒を鞄へと仕舞い込み、深く腰掛けていたソファから腰を上げると、鞄と共に膝に抱いていたコートを手に取り袖を通す
と、一瞬動きを止めたかと思うと、体を大きく揺らしながら、堪えたようにしてくしゃみをひとつ
「風邪？」
「いえ・・・、花粉症持ちなんですよ、僕。先生は確か違いましたよね、羨ましい限りです」
「そっか、もうそんな時期だっけ」
「もう、先生ってば相変わらず季節に疎いんですから。ほら、外見てみて下さいよ」
その一言ともに、窓の方へと視線を促す
外を指差すその動きにつられるように顔を向けた男の目に映ったのは
「・・・桜」
「ええ。来週あたりには満開だってテレビで言ってますよ。先生はあまり外に出られないですし気にされてないかもしれませんが、花粉症の身としては恐怖でしかないですよ」
眺めの良い高層マンションからも、階下に広がる薄紅色の海がはっきりと見てとれた
「じゃあ、またお伺いしますね。今日はこれで失礼致します」
そう告げると鼻をぐずぐずと啜りながらマスクをしっかり付け直し、編集者の男は部屋を後にした
.
.
「・・・そうか。もう、春が来てたのか」
ひとりきりの部屋で、男の声がぽつりと零れる
「あれから、もう十年か・・・」
過ぎ去った年月を惜しむように瞼を伏せ、男は静かに首を垂れる
そしてゆっくりと立ち上がったかと思えば、ふらり窓際へと歩みを進める
「まだこんなに、鮮明に覚えているのにな」
磨き上げられた窓へそっと手を伸ばせば、しんと冷たい感覚が掌から身体全体へと沁み渡る
力を抜いて傾ぐ身体をそのままにすれば、こつんと額がぶつかる音
少しも気にした様子もなく、そのまま深い呼吸を繰り返す
そしてゆっくりと、小さな声で
「 ーーー 」
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桜が咲く度に思い出すのは、十年前の忘れ難い夢のような出来事
その名を呼ばれ柔らかく微笑んだ彼と共に過ごした、たった五日間の日々
それは、心優しい死神との忘れられない物語
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、今作も読んで頂きありがとうございます！ジャニフェスに舞台挨拶に、松本さんは大忙しの年末ですけど、是非5人でまったりな時間も送ってもらいたいですね(^^) 今年はたくさん足を運んで頂きありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。 (2021年12月31日 22時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、お久しぶりです。年の瀬に仲良し五人のお話しをありがとうございます。ほっこりします！お話しのように五人で過ごしてほしいですが、松本さんは忙しいでしょうが、初めてかもしれない家での年越しを楽しんでもらいたいです。来年もよろしくお願いいたします (2021年12月30日 18時) (レス) @page31 id: cfa505a5e1 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - はるさん» 素敵な感想を頂いていたのに、すぐにお返事できず大変失礼しました。今後も不定期な更新ではありますが、楽しみにしていただければ幸いです。コメントありがとうございました！(^^) (2021年6月17日 18時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - はるさん» はるさん、コメントありがとうございました！狙い通り引っ掛かって頂けて、作者としては嬉しい限りです。私も大野くんは口数は決して多く無くても、凄くハッとする様な事を言ってたりする印象だったので、凄く共感しちゃいました。 (2021年6月17日 18時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - きよさん» ちょっと切ない雰囲気なので、好き嫌いがハッキリしちゃうかと思ってたんですが、好きだと言ってもらえて嬉しいです！なかなか感謝の言葉をお伝え出来ずにすみませんでした。不定期更新ではありますが、今後も楽しみにしていただけると幸いです(^ ^) (2021年6月17日 18時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2021年4月14日 20時
