137…S ページ18
耳元で唸りを上げていた風が止んだ
痛みも何もない光の渦から抜けた先、全身を包んでいた仄かな温もりが去っていくのを感じて、ゆっくりと目を開ける
次の瞬間、ぐらりと傾いた智くん
突然の展開に、繋いだままの手を解く時間も無く、僕も引きずられるようにぺたりと座り込んだ
「っ、智！」
「おう、ただいま」
「馬鹿！なかなか戻ってこないから、凄く心配したんですよ！なのに・・・なのに、何へらへらしてるんですか！」
そこは、淡く光る球体の中だった
倒れ込んだ智くんに覆い被さるようにしているのは、今にも泣き出しそうな顔の和くん
流石に僕たちを待ち続ける間、ずっと背負い続けるのは無理があったんだろう、彼の側には穏やかな表情で眠る雅紀が横たわっている
ごつん！と大きな音を立てていたから、きっとぶつけた場所はとても痛いだろうに、智くんは和くんにされるがままで、今もぽかぽかと胸を叩かれては苦笑いを浮かべていた
とりあえず落ち着いてもらおうと、肩へ伸ばした手が和くんに触れるよりも早く、今度はぐるんと僕の方へ振り向く
ばちり、目が合って、その視線が僕の首筋に移動したのを感じる
そこにあった赤い石が無くなっているのを、和くんはたっぷり十数秒はじっくりと見つめて、そしてとうとう、真っ赤に充血した目からほろり涙を零した
「え、えっと・・・！ご、ごめんね、和くん。心配、かけちゃったね」
「・・・っ、翔さんもっ、聖域から出られないんじゃないかって、そしたら、俺は、どうしたらって・・・ほんとに、本当に、心配したんだから・・・！」
「うん。ありがとう・・・。ちゃんと、帰ってきたよ」
「っ、良かった・・・本当に、よかっ・・・」
そのまま涙で声を詰まらせた和くんを、智くんと二人でそっと抱きしめた
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、最後までお付き合いいただきありがとうございました！ 出来るだけハッピーエンドを迎えられるように、と思っていたので、そう言って頂けて嬉しいです。型破りな自由奔放神父様を感じて頂けてありがとうございます笑 素敵なコメントありがとうございました！ (2021年2月13日 19時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、完結おめでとうございます。アポロ様どうしたらいいか解らなくなってたんですね。ちょっとツンデレ気味？智くんの神父様は、何にも縛られない智くんならではの素敵な神父様なんだろうなと納得です。潤くんも生まれ変わって、みんな幸せで良かったです。 (2021年2月9日 20時) (レス) id: d9af776466 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2021年1月19日 18時
