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「どちらにせよ、どこか身を隠せる場所に移動しといた方がよさそうですね」
「そうだな」
まだアポロに気付かれていないのだとしても、こんな開けた場所に居たんじゃ、見つけてくれと言ってるようなもんだ
翔くんや雅紀のところまで辿り着くためにも、このまま留まり続ける選択肢は無かった
「なあ、どっち行けばいいか分かるか？」
「残念ながら、見当も付かないですね」
「だよな・・・、よし。とりあえず右回りに、壁伝いで進んでみるか」
「ちょっと、いい加減過ぎない？」
「しょうがねえだろ、当てなんか無いんだから」
「だからって・・・！」
俺も和也も、それに気がついたのはほぼ同時だった
.
こつん、と軽い足音
また一歩、更に近づいてきたのか、微かな衣擦れの音もする
きっと、振り返れば簡単に目が合うほどの距離
背後には、扉も何も無かったはずなのに
二人して顔を見合わせた
真っ直ぐこっちへ向かってくる音の感じからして、向こうは既に俺たちの姿を捉えているはずだ
走って逃げるか？
どこに逃げれば良いのかなんて、分からないのに？
目線だけで言葉を交わす
そして硬い表情のまま、和也が小さく頷いたのを確認して、俺は意を決してゆっくりと振り返った
俺が振り返った時には、残り数歩の距離を残して、相手も立ち止まっていた
アポロを彷彿とさせる真っ白な装束に身を包んだ男
大きめのフードのせいで、その顔は影に隠れている
唯一窺い知れる口元には、黒子が一つ
背丈や雰囲気から、アポロではないことだけは分かったが、それでもまだ警戒を解くことは出来なかった
数十秒の沈黙の後、相手が小さく息を吸い、そして
「ようこそ、聖域へ」
柔らかな声で告げ、ゆっくりと頭を下げたのだった
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しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、最後まで読んでいただきありがとうございます。中々辛い展開ばかりではありますが、少しずつハッピーエンドへ向かっているはずです。救いの手が差し伸ばされることを信じて、次章を楽しんでいただければ幸いです。 (2020年12月6日 17時) (
レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、お疲れさまです。やっと会えたのに辛いですね。翔くん、自分が逆の立場だったら？大切な人の犠牲の上では嬉しくないという事も解った上で、智くんを助けたいのでしょうが、智くんには辛いだけですよね。どうにか救いの道がありますように。 (2020年11月29日 15時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - きよさん» きよさん、こちらでもコメントありがとうございます。今作の翔くんは、自己犠牲精神が強すぎるんですよね…。でもきっと、大野さんが救い出してくれるはずなので、どうか見守って頂ければ幸いです。今作も是非お付き合い下さい！ (2020年11月11日 23時) (レス) id: 9366a89cfd (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - しゅりさん、更新ありがとうございます。翔くん目線でのお話し楽しみです。でも自分を犠牲にしている翔くんは、翔くんが納得していても悲しいです。 (2020年11月11日 12時) (レス) id: ae2dee5c90 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅり
| 作成日時：2020年11月10日 18時
