＊＊キイロからアカへ＊＊ ページ19
「ま、近っ、近いって」
人気のない冷たい部屋
全身に巻き付くように伝わるひやりとした室温に、余計に震える身体と声
靴を脱ぐ間も無く始まった玄関での押し問答
どうにか押しとどめようと伸ばした両手も素早く絡め取られ、バランスを崩した身体はそのまま廊下へと倒れていく
「っ、ぅわ」
覚悟した衝撃が背中に走ることなく済んだのは、目の前の男の意外と逞しい腕によって抱きとめられたからで
「なんで俺が怒ってるか、分かってる？」
抵抗虚しく、ゼロになった距離で感じるのは
自分と同じく未だ外の空気を纏ったままのニノの重み
「簡単に触らせすぎ。我慢の限界なんだけど」
「や、待って、ニノ・・・」
「待たない」
コートも羽織ったまま、カバンも肩に下げたまま
だけどそんなの関係無いみたいに、ニノの動きは止まることがない
するりとシャツの隙間から忍び込んできた冷たい指先に、思わずびくりと反応する身体
背骨の形を確かめるかのように辿るその動きに、寒さだけではない震えが身体の奥から沸き起こる
「フランツ・グリルパルツァーの『接吻』」
ニノのその一言に、思わず息を呑んだ
「意味が分かっててあんな態度取ってたんでしょう？・・・イケナイ子だなあ、翔」
「や・・・ちが・・・」
「ん？何が？」
いやいや、と頭を振ってその問いを否定しようとするものの、ニノは決して許してはくれず
「ね。俺のコレも・・・分かってくれるよね？」
頭を振ったせいで露わになった耳朶へとダイレクトに降ってくる囁きが、甘い痺れとなって全身を駆け巡る
くちゅり、と直接響いた水音
感じた舌先の暖かさと、ぞわぞわと背筋を震わす快感
「それ以外はみんな・・・なんだっけ？」
それ以外は・・・
「狂気の、沙汰・・・」
「ふ・・・正解」
もう、ここが玄関だとか、まだ俺もニノも靴履いたまんまだとか
ニノが俺とメンバーとの間のやり取り全部知ってたとか
そういったこと全て、ぼんやりと霞がかった思考の向こう側に消えていく
「いい子には、御褒美あげないとね？」
「ん・・・欲しぃ。ちょうだい・・・かず」
狂気を抱いたのは、一体どっちが先だったか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 563人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅり(プロフ) - aoiさん» あおいちゃん、ありがとー！！お互いテストから解放されてのんびりだね笑 お疲れ様でした(*^^*) そう！北海道にお邪魔してたよ！ トマムと札幌、それに小樽…いやぁ、サイコーだった！ また何度でも行きたい場所だったよ。おすすめあったら次回の参考に教えてね笑 (2017年2月28日 19時) (
レス) id: 30d025906c (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - そしてなんとびっくり！私の地元に来てくれてたんだね！もっと早く私がしれてたらしゅりちゃんにオススメの食べ物や場所を教えれたのになってちょっぴり後悔…。でも楽しんでくれたみたいですごく嬉しい！良かったらまた来てね(*^^*) (2017年2月28日 0時) (レス) id: 7fe943495a (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - しゅりちゃん、お久しぶりです。試験お疲れ様でした！ご挨拶が遅くなってごめんね（ ; ; ）私も漸く年次の最後のテストから解放されてゆっくり過ごしてます(笑) (2017年2月28日 0時) (レス) id: 7fe943495a (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろさん、ありがとうございます〜(>_<) 自分の好みだけを詰め込んで書いたので、そう言ってもらえると嬉しいです。 法医学テーマなだけあって難しいですが、なんとか頑張って続き書けるようにしたいです！ コメントありがとうございました(*^^*) (2017年2月16日 19時) (レス) id: 866caf6267 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - しゅりさん このお話、私のドツボです。白衣、天才で変わり者。純粋でまっすぐな新人。きゃ〜です。他の設定もいいなぁ。わくわく楽しみに待ちます。 (2017年2月15日 21時) (レス) id: f465208f83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゅり
| 作成日時：2016年12月31日 8時
