大学2年生・夏 ページ9
じりじりと暑い８月、私たちの夏休みはもうすぐだ。キャンパス内を歩いていると、フリースペースで突っ伏している宇津橋を見つけ、その向かいの席に陣取った。
「流星群見に行きたかったんだけど、友達に断られた」
唐突に私が言うと、宇津橋はだるそうに顔をあげて、眉間にシワを寄せる。
「もうゾムでも誘おうかなって思ってるんだけど、あんまり好きじゃなさそうだよね」
最近親しくなった共通の友人の名前をあげると、宇津橋は眼鏡をかけて起き上がった。
「ゾムさんは、うーん。まぁでもみんなでわいわいするのは好きなんとちゃう？」
「わいわいするほど人集めらんないの、人望ないから」
「二人？」
「宇津橋も来る？そもそもまだゾムも誘ってないけど」
「……」
考え込む宇津橋に少し驚いた。即断られると思っていたのに。
「まぁ、行けたら行く」
「それ絶対来ないやつじゃん。十三日の深夜なんだけど、予定どう？」
「あー。うん、まぁ」
予定はないけど躊躇う、というところだろうか。スマホを操作して、ゾムにラインを入れる。するとすぐに【バイトやわ。終わって元気あったら行く】と返ってきた。
「絶対来ないやつじゃん」
「なに？ゾムさんも同じこと言うてる？」
「うん。」
「ふーん」
「聞いたくせに興味なさそうにするな」
二人だとしたら、宇津橋は来てくれないだろう。仕方ない、今回は諦めよう。あわよくば、夏休みに宇津橋と会いたかったのだけれど。そう思いながらも席を立つ。
「じゃあ、いい夏休みを」
「待って」
宇津橋が机に身を乗り出して、私の腕を掴んでいた。隣を歩いて一緒に帰ったことはあっても、こうやって触れたのははじめてかもしれない。いや、あの階段から落ちて助けられた時以来だ。驚いて目を見開く。宇津橋は慌てたように手を離した。視線も合わない。
「十三日、どこに行ったらええの」
「え」
来てくれるつもりなのだろうか。驚きの連続だ。確かに最近、宇津橋はよく私に構ってくれるようになった。一緒に帰ることも少なくないし、たまにはご飯にだって行く。
もう大丈夫なのだろうか。変に嫌っていたのは、一体なんだったのだろう。謎は残るが、来てくれるのならそれに越したことはない。
「また連絡する」
「そうして」
気付かないうちに、かなり距離は縮まっていたのかもしれない。
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千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます！私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます！そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー！と思えます！ありがとうございました！ (2020年6月20日 9時) (
レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません！ありがとうございますー！ (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます！ (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です！ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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