大学1年生・秋 ページ24
「見て、鬱先生、もうおでん売ってる！肉まんもある！」
夏が過ぎ、それでもまだ暑い9月の終わり。大学帰りにコンビニに寄ると、楽しげにそう言われた。その平和で緩みきった顔。やっぱり好きやなぁ、と思う反面、あの冷たくて動かなくなったこいつが、頭のどこかでちらついている。
「どうしたの」
「いや、もうそんな時期なんやな」
「ね！肉まんとピザまんとあんまん……鬱先生、半分こしよ」
返事を聞かずにレジに並ぶ。そういうところあるよなお前。可愛いし食べるけど。
二人して帰路につく。
ほぼ毎日、家に送り届けている。夜道は出歩くな、とか、うるさいほどに心配してしまう。だって、もう二度と、あんなお前を見たくないから。
「おいひい」
満足げな笑顔。もう僕、我慢した方やろ。前を行く彼女の手を掴んだ。そのまま引き寄せる。
「な、なに」
ちょっと動揺した様子。肉まんを握りしめたまま、顔が赤い。よかった、多分、ちゃんと今回も、僕のことを好きになってくれた。
「好き」
耳元でそう囁くと、
「わ、私も！」
と真っ赤な顔で返してくる。
二度目の告白は、紅葉しかけの紅葉の中。
儚い桜のなかでの告白を思い出す。
しっかりと抱き締めた。ここにいる。心臓の鼓動がちゃんと聞こえる。あたたかい。生きている。それを噛み締めて、キスをした。あのときのように何度も。それ以上に。もう絶対に失いたくない。
「苦しいって」
うるさい。黙って僕に抱き締められとって。お願いやから、もう行かんとって。
「今日、僕の家に泊まってくれへん？」
「付き合ってすぐそれは」
「お願い」
手は出さへんから。俺の目の届くところにいてほしい。離れた隙に、連れ去られてしまいそうだ。
「しょうがないな」
助かったけど、ちょっとちょろすぎひん？警戒心持っとってな、勿論僕以外に。
「鬱先生だからだよ」
あーくそ、そう言うこと平気で言いよる。
頬が緩むのがわかった。同時に涙が出る。あかんわ、ホンマに。
「なに、嬉し泣き！？そんなに！？」
「うっさいあほ、僕がどれだけ、」
「鬱先生さぁ、結構私のこと好きだね？」
「結構やないわ」
「めっちゃ？」
「めっちゃや」
「その返しは予想してなかった」
調子に乗るくせに、そうやって照れるところも嫌いやないで。むしろ、余計好きになる。
幸せを手に入れると怖くなる。
その不安を打ち消すように、しっかり手を握った。
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千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます！私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます！そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー！と思えます！ありがとうございました！ (2020年6月20日 9時) (
レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません！ありがとうございますー！ (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます！ (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です！ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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