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大学1年生・春 ページ22

目が覚めると自分のベッドに居た。喪服を着ていたはずなのに、普通の部屋着になっていて、一体なにがあったのかとスマホを引き寄せた。

……全部、夢だったのだろうか。

期待を込めて、日時を確認する。僕の予想より、夢だった期間は長すぎたらしい。

一年前の、入学式の翌日。

僕は、一年間の夢を見ていた?一年まるごと夢だった?そんなバカな。

大学に行って確かめなくては。時刻八時を過ぎたところ。今日は一コマから講義があっただろうか。あわてて支度をして、大学に向かった。

僕は一年生だった。昨晩まで二年生になったばかりだったはずなのに、今の僕は一年生になったばかりだ。広い教室内を見渡すと、見知った顔もたくさんある。

その中で、笑顔の彼女が目に入った。見間違えるはずもない。棺桶の中で横たわっていた、不気味に綺麗な顔とは違って、その双眸は閉じられていない。

本当に夢だったのか。それとも、これが夢なのか。いや、一年前なのか。なぜ一年前なのか。

疑問ばかりだ。疑問ばかりだが、それよりも高揚が、嬉しさが勝った。手が震える。……また会えた。それだけで十分やろ。

彼女は不意に顔を上げる。目が合った。特に話しかけて来るわけでもなく、ただ一瞬目が合っただけだった。

もう一度彼女と話せる?触れられる?
こんなチャンス、普通ない。やり直せる。少し溢れた涙を止めようと目を擦り、前を向いた。

「ここの席空いてるで」
「本当?ありがと。ねえ、ここ空いてるって!」

久々に聞く声。あかん、泣きそうになる。早く親しくならなければ。

僕が未来を変えてやるなんて大層な台詞を吐くつもりはないけれど。

……追い縋って、絶対にあの世になんて連れていかせない。

大学1年生・夏→←**



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千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます!私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます!そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー!と思えます!ありがとうございました! (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません!ありがとうございますー! (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます! (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です!ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千白は山に住む | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月6日 18時

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