大学2年生・春 ページ20
連絡を受けたのはその日の夜。
家まで送り届けたのに、友人と電話をするために家を出て、公園まで歩きに行っていたらしい。友人との電話の内容は勿論、俺に告白されたという話。
「本当に、幸せそうに話してたのに、なんで……」
友人は、そう言って花を棺桶の中に置いた。そこには、うっすら化粧をして、微動だにしないまま、僕の一番好きな人が横たわっている。そっと触れても、温もりは感じられない。
大型のトラックに、撥ねられたらしい。
僕の彼女を名乗るんやろ。寝とる場合とちゃうで。
あほやろお前。舞い上がって友達に電話して、そのせいでこんな、……こんな。
嘘やろ、そんなことあるわけない。大がかりなドッキリで、実は普通に生きてるんとちゃうの。そうだと言って、そうだと言ってくれへんと、僕は、なあ、なんで、起きろよお前、目を開けろよ。
置いていかんとってよ。頼むから。
通夜も葬式も終わって、喪服のままふらふらと歩いた。このままの垂れ死んでしまいたい。そうすれば会いに行けると。俺は地獄に落ちるやろけど、お前は天国に居るんかな。地獄もこの世も、お前が居らんのなら同じ地獄やわ。まだお前、やり残したことだらけやろ。ふざけんな。
満開の桜が風にさらわれてはらはらと散っていく。桜は儚いから美しいと言う。
涙が止まらない。咳も止まらなくて、鼻水も出る。桜の木の下で、このまま死んでしまいたい。
そう思いながら、……そのまま目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 373人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千白は山に住む(プロフ) - 凡人さん» ありがとうございます！私もお気に入りで、昔かいたものなのについ番外編を書いてしまいます！そう言っていだだけるのならここに更新しに来てよかったー！と思えます！ありがとうございました！ (2020年6月20日 9時) (
レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - bhさん» 長らくお返事できていなくてすみません！ありがとうございますー！ (2020年6月20日 9時) (レス) id: 392f79c1f8 (このIDを非表示/違反報告)
凡人(プロフ) - 更新されていてびっくりしました。私が本当に大好きなお話です...ありがとうございます！ (2020年6月5日 18時) (レス) id: 0a526fe040 (このIDを非表示/違反報告)
bh(プロフ) - 大好きです、これからも応援しております。 (2020年3月15日 0時) (レス) id: 204dfe46bb (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 水澪恋さん» 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました！あげて落とす仕様でしたが楽しんでいただけていたら本望です！ありがとうございます、今後もがんばります(*^^*) (2019年10月12日 20時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
