【d!】白羽の矢【短編集】 (ページ7)

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特異行方不明者捜査報告書ページ7

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×月1日

かみさまはわたしと同じくらいの大きさになった。
ここまでこれたのもわたしのおかげだって言われた。うれしかった。かみさまもうれしそうにしてた。
天気よほうで、あしたは大雨がふるらしいって言ってた。やだなあ。

×月10日

さいきん、ずっと天気がわるいし、なんだかこわい。
こわいってかみさまに言ったら、おれのとこにいればだいじょうぶって言われた。わたしのあたまをなでてくれた。

かみさまは、わたしよりちょっと大きくなった。

△月2日

お兄ちゃんがしんだ。だるまみたい。

△月15日

たいふうがきた、みんなたいへんなことになってたけど、わたしはかみさまのところにいたからだいじょうぶだった。

かみさまは、もっと大きくなった。わたしのあたまをなでてくれた。

△月20日

やっと天気がはれてくれた。
しんじゃった人も多いみたい。わたしの家と、お父さんとお母さんはぶじだった。

となりのせきだった××ちゃんがしんじゃったらしい、とんできたものにぶつかって、くちからかおがさけちゃったんだって。

△月27日

今日は、いつものじんじゃに行ってもかみさまがいなかった。どこに行っちゃったんだろう。

◼月7日

おむかえにきてくれた

(以下、明らかに少女の文字ではない達筆な字で祝詞のようなものが書かれている。字は煤けていて正確に読み取ることは難しい。)

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「ええ子やなあ」

運が良かった。あの時少女に気づいてもらえなければ、封印からとけはしたものの、恐らく何も為せずに終わっていただろう。野生動物に食われていた、なんて無様な最期もありえる。
最初の頃は、空腹のあまり少女を喰らってしまうことも考えた。しかし、自分を「かみさま」だと信じきっている阿保で間抜けなこの存在を愛らしいと感じてしまった。自分に縋り付く顔が見たくて見たくて堪らない、だから手元に一生置いておくことにした。

「なあ、A ？」

少女は彼の膝に頭を乗せて、安らかな表情で眠っている。彼が少女の耳に口を寄せると、少女は擽ったいのか身じろぎをした。

「ずうっと守ったるからなあ」

雑面の下で、鬼が笑った。