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幽霊と人間 ページ2

ほぼ反射で振り向けば、そこには子供の体が横たわっていた。

数秒の間の後、それが"落ちてきたもの"であると判断した私は叫んだ。


「うわああああああ!!?」


腰が抜けて立ち上がれない。

ズリズリと後ずさり距離をとる。

子供の頭からじわりと血溜まりが広がっていく。

落とされたのか、落ちたのか、自 殺なのか。

目の前の現実が受け入れられない。

全身が震えて動けない。

そんな状態でついに涙までではじめた頃、その子供が体を起こした。


「うわああああああああああ!!!!???」


誰しもが叫ぶだろう、こんなの。

素人目でもわかるほどの出血量で、即死だっただろう。

なのに、死体が動いたのだ。

私は抜けた腰を引きずりながらも逃げようともがいた。

赤子よりも下手くそなハイハイで逃げようとしていた。

跡を追われているか確認するためにちらりと振り返れば、

子供は座り込んだまま動いていなかった。

やがてゆっくりと立ち上がると、私が向かった方向の真逆に歩き始めた。

フラフラとやけに覚束無い足取りがなおさら人間味を感じさせない。

いや、くたびれたサラリーマンなんかはあんな風に歩いているかもしれない。

実際、コンビニに夜食を買いに行った私もあんな風に歩いていたために

足元の不注意を怠ってこんな目に合っているのだ。


……いや、不注意を怠ったのとこんな目は繋がらないはずだ。


いよいよ子供の背中も見えなくなり、ようやく息を吐いた。

体の震えも収まってきて、ゆっくりと立ち上がる。


(さっきの子供、マジの幽霊??

自 殺を繰り返す幽霊とかはいるって聞いたことあるけど、

まさかこの目でみることになるなんて……)


未だに信じられなくて、ただ目の前に残された血溜まりを見つめた。


(…………幽霊って、血痕残すの??)


好奇心に負けてそっとそれに近づいて観察しようとした瞬間、

数人の声が聞こえた。


「こっちからか!?」

「ああ!たしかに叫び声が……!」


私の渾身の叫び声を聞きつけた人達が近づいているようだった。

最悪にも私の格好はこの時代では有り得ない服装だ。

曲者!と斬り捨てられること待ったナシ……いや、この時代は侍はいないのか。

とにかく、迫害されることは目に見えている。

いや意外と同じ日本人として親切にしてくれるかもしれないが、

そんな甘い考えで殺されてしまっては堪らない。

私はすぐに山の中へ入りこみ、彼らから距離を置こうと走った。

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作者名:ウェイウェイ | 作成日時:2024年3月5日 16時

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