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第50話 ★ 街の前にあった村は…。 【過去】 ページ5

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ーSHOUTA sideー

ふと、昔のことを思い出した。

まだAともであっていない。数十年前の出来事…。

俺の住んでいる森、その森の周辺の村…。今はこうして街になったが…。昔は、貧乏で寒くて素っ気ない村があった。そして、誰もが幸せを願わず、誰もが精神を闇に放り投げ、戦争、建物破壊、餓死、自分の子供までをも皆殺しにしていた。その村には、ある伝統があった。

10代の娘をこの森の中にいるヴァンパイア、つまり俺の餌にすること。餌にしないと村に祟りが起きる、そう言われていたらしい。これが半年に一度行われたのだ。

何故ヴァンパイアの俺の存在がバレたのかは不明だが、今もよく覚えてる。森で俺にあった娘は、怖さと寒さで震えていて、鼻水垂らして思いっきり泣き叫び、「助けてください」と言う。

俺は、呆れていた。自分のことを最優先に考える村の人々、自分の娘が生贄にされているにも関わらずそれを「行くなッ!」と止めるのではなく、「私のために死んで」といってこの森に引きずって連れてくるのだ。

俺は森に来た娘を、全員森の裏から逃がしていた。
当たり前だ。俺はそもそもそんなに血を必要としていないし、こんな馬鹿げた儀式に付き合わされる筋合いもない。それに、そんな村にいるよりも、自分たちが住みやすい新しい居場所を見つけて生きる方がいいと思ったから。

…いつの間にか、村は戦争で全滅、大人も子供もその村のあらゆるところで死んでいた。建物は焼け、何一つ残っていなかった。

その時、俺は人間の事を無力さ、残酷さ、自己中心的な考え方しか持っていない哀れな人達というふうに捉え、どう見ても人間のことを「優しさを持っている」とか、「思いやりがある」というふうに見ることができなかった。

数年後、人間がまた新しくその村の跡地に来、街を作っていった。

俺は一切森からでなかったが、今の人々は…、前の村の時よりも全然違うくて、1人1人が優しさや、思いやりを持ち、前を向いて「幸せ」と感じながら生きている。

…これが、この暖かい感情が「好き」って事かな。

…Aが好き。

…賢章が好き。

…街の人々全員が好き。

…この街が好き。

…これから、どれ位の好きが増えるのだろうか。

それがとても、楽しみに思えた。

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水無月のぞみ(プロフ) - 続きがめっちゃ気になる!楽しみにしてるので更新頑張って下さい♪ (2020年10月1日 21時) (レス) id: 75d470a583 (このIDを非表示/違反報告)
Miki - この話大好きです!実は最初のシリーズから時々、見てて泣いてしまったんです。続きめっちゃ楽しみにしてます!更新頑張ってください!応援してます! (2017年10月15日 2時) (レス) id: 146c34130b (このIDを非表示/違反報告)
AoiMika - この話がとても大好きです!これからがとても楽しみです。 (2017年6月26日 22時) (レス) id: e10d0996de (このIDを非表示/違反報告)
AoiMika - これからの展開を期待しています。 (2017年6月26日 0時) (レス) id: e10d0996de (このIDを非表示/違反報告)
ぽやぽや - はじめまして!ぽやぽやです! いつも読ませていただいています♪ とてもおもしろくて毎回楽しみにしています。 次回もまた、楽しみにしていますね♪ (2017年5月1日 18時) (レス) id: c6da9cbc36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:最先端の消しゴム | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年1月2日 22時

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